ECパッケージの役割〜市場規模の拡大傾向中での存在意義
2022.10.11
ECの普及は現在も伸び続けています。また、その構築や運営に関わる市場も伸びており、その中では乗り換え需要も多くを占めています。ECサイトのリニューアルという点では「ECパッケージ」の存在感は大きなものになっています。ある程度の成功を収めた、あるいは成功を目指した乗り換えではECパッケージのカスタマイズによる許容量は大きな魅力だからです。ここではEC市場のトレンドとECパッケージについて解説します。
CONTENS
EC市場は未だに拡大中
2020年代はECが大きく飛躍しています。2000年代初頭から市場は拡大を続けていますが、その傾向はまだ続いており、ピークに向かって伸び続けています。
すべての市場全体が縮小傾向に向かうと言われている日本国内でも、ECに関してはそうした傾向が見えていません。ECサイトを構築したり、管理したりするための市場も2020年は199億円という金額が試算されています。
それに加えて、これが5年後の2025年には290億円あたりまで伸びるという試算もあります。生活の中でのインターネットでの活動時間が増加していることもあり、消費の傾向が変化しています。背景にはコロナウイルスの流行による接触制限もありますが、それ以上に生活全体の電子化傾向の強化も無視できません。
商行為として購買に関してはECはもはや当たりまえになってきました。多くの商品はWEBを通して販売することが可能になっており、その需要も高くなってきました。
購入の基準の一つに「インターネットで購入できるのか」ということも話題に登るようになってきています。またそのもう一つの背景には様々な支払い方法が登場し、それぞれに利用者がついていることも関係しています。ECはテクノロジーのアップデートが実際の店舗よりも簡単です。そのため、多くの支払い方法を受容する場ともなっており、そのあたりの現実的な理由もEC市場の拡大に一役買っています。
その結果、ECプラットフォームも細分化されてきました。相変わらずAmazonや楽天に代表されるECモールの販売数は伸びています。しかし、一方で自社ECサイトでの取り組みを始める企業も増えています。
インスタントECとクラウドECの伸び
ECに関して伸びている分野としてまず挙げられるのがインスタントECと呼ばれる無料でECサイトを所有することができるサービスです。BASEやSTORESに代表されるインスタントEC、あるいは簡易的カートASPはこのところの副業需要もあり、未だに伸びています。コロナでの巣篭もり期には一気に増え始めた利用者数ですが、今も伸び続けています。
こうした動きは多くのECサイト利用者を生み出すきっかけになっています。裾野が伸びてきたことで、さらに今後の押し上げも起こることが予測されます。こうした新規EC参入者の何割かは離脱し、また何割かは次のステップに移っていきます。そうしたことを考えるとインスタントECの存在は確実に未来のEC市場規模を拡張する基礎となるでしょう。
もう一つ注目されているのはクラウドECです。これはクラウド上にプログラムを置いてECを稼働させるECプラットフォームの構築方法です。カートASPでの規模では間に合わなくなってきたECサイト運営を移行する際の選択肢として登場してきました。
ASPでのEC活用はアップデートの作業などの手間がなく、メンテナンス面での利便性の高さが大きなメリットでした。しかし、一方で複雑化していくWEB技術に合わせてタイムリーに更新していくにはベンダーの開発力などが必ず必要であり、ベンダーがどこにフォーカスしているかによっては、期待した技術がいつまでも導入されなかったり、支出を増やしてしまうといったことも起こります。
とはいえ、ECパッケージを導入するにはメンテナンスの面で自信がない、あるいは不安に思うユーザーに向けて、そのいいところの両取りを狙ったものがクラウドECです。感覚的にはちょうどカートASPの上位互換として、ECパッケージに迫ろうという技術です。
こうしたクラウドECが注目される背景には、多くのECサイトがプラットフォームのアップデートを考える程度まで時間的にも事業規模的にも成熟してきたということが背景にあります。
ECパッケージは成功へのステップとして市場での存在感も増
リニューアル需要は毎年一定数、EC関連事業の中にあります。また、裾野が広がることは将来的なリニューアル市場の拡大でもあります。
ECパッケージには初期費用にまとまった金額が必要です。ライセンス使用料と構築に関わる費用を考えると数百〜1千万円ほどの予算は軽く見積もっても必要になってきます。つまりイニシャルコストがそれなりに必要ですので最初期にECパッケージを導入できる事業者は限られてきます。
しかし、そのプロセスの中でECでの成功が確実であったり、その可能性を大きく感じればリニューアル時に予算をかけることで十分にそのコストを回収することが可能になってきます。つまり、成功へのステップとしてECパッケージは有効な選択となっています。
ECパッケージの優れた点は以下のとおりです。
- システム構築時の柔軟性
- セキュリティ管理の独立性
- 柔軟性に対する費用対効果の高さ
この3点のメリットは総合するとなかなか代替えの手段はありません。柔軟な構築を可能にするECプラットフォームの構築方法は2つあります。それはECパッケージとフルスクラッチによるものです。しかし、費用対効果を考えるとECパッケージが圧倒的に有利です。
セキュリティについてはメンテナンスを自身で行う必要性があります。しかし、他の構築方法ではベンダーが抱えたトラブルに巻き込まれる可能性があります。カートASPはセキュリティ面でのメンテナンスから確かに解放されます。また、クラウドECも同様の部分があります。しかし、それはあくまでカートASPが何かのトラブルに巻き込まれないという前提の上で安全であるといえます。しかし、絶対はありません。
そのため、セキュリティの安全面ではECパッケージも管理次第では同様に強固であるといえます。もちろんオープンソースの場合は別です。オープンソースの場合はそもそもプログラムが公開されています。そのため、安全面では大きく劣ることを導入前に認識しておきましょう。
構築によりメリットを最大化することが鍵
ECパッケージを導入するにあたっては、それぞれのブランドに対して、UI/UXを高め、効率的な運用、効果的なマーケティング施策を最大限に組み込むことがとても重要です。
ECプラットフォームの中でECパッケージを選択するデメリットとしてはやはり、初期予算と継続したメンテナンスコストの発生となります。しかし、メンテナンスコストに関してはトータルしてみると簡単に比較はできません。日常の運営に対して効率的な構築によって工数を抑えることが可能になるケースもあるからです。そういった面でECパッケージのメリットを大きくし、デメリットを削ることが可能です。
いかに導入時にメリットを最大化できるかに注目し、ECサイトを構築できるかをしっかりと考えていく必要があります。
そこにはサイトのコンセプトをしっかりと持ち、構築する技術者との協力なども欠かせません。
tri-coのコンセプトは”ECをともに作ること”
ECパッケージを導入しようと考えている場合、選択として重要なのはそのパッケージのコンセプトが、自分たちが描くECのコンセプトに合うのかどうかです。
例えば私たちが送り出したtri-coもECパッケージです。これは単純に機能の豊富さを謳うのではなく、ECに関わる人にとってのハッピーとは何かにフォーカスして作られているという部分がポイントです。
多くのECパッケージは非常に多機能です。そのため、結果的に誰もが同じ回答を目指すことができます。そうした中で横並びに並んだものを選択するためのポイントは、何が一番近くにあるのかということにつきます。それは自分たちが目指すゴールへの適切なルートになるはずです。
ECの本質は結局、人と人が電子情報の中で触れ合うということに尽きます。ですので、ポイントとしてはいかに人のつながりを作る、文字通りのECのプラットフォームとして存在できるのかが問われている時代になってきました。ECは買う人だけでも、売る人だけでも、その運営に携わる人だけでも成立しません。そして、その三者がそれぞれに充足感を得ることがとても重要だと考えます。
tri-coはそうしたポイントにフォーカスすることでECは加速し、またそれぞれの満足度、充実感も高まり、ハッピーが連鎖して広がるにはどうすればいいのかについてフォーカスし工夫しています。単純な機能やハイスペックだけでなく、ECパッケージがビジネスの好循環を生むことを目指しています。
もし、そうした設計思想に共鳴できるものがあるのであれば、事業の推進力になり、目的の達成にも近くのではないでしょうか。
ここでは私たちにとって身近なtri-coを例にあげましたが、選択する際にはぜひこうした部分に着目して選択してみてください。
ECパッケージ選びでは共感を得られるものを選ぶことは結局、目的への最適解になります。これはECパッケージに限ったことではありませんが、ある程度の投資になるからこそ、しっかりと目的にあったものを選ぶことでより効果を発揮させてください。
ABOUT US
この記事を書いた人
鈴木隆太 株式会社かいな
1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。