売れるためのすごい仕掛けを考えてECで販売力をあげるには?結果が出せるネット販売のがんばるポイント
2022.11.25

ECは売れるからこそ。販売力があるからこそ経営面でも運用面でも続けていくモチベーションを生み出し事業の原動力になります。
逆に言えば、ただなんとなく販売をスタートさせても売る=買ってもらう数を増やしていくことは困難です。そこには必ず売るための仕掛けと労力が必要です。そのため、社内も社外も含めて関係する全員がやる気を出して取り組むことが重要です。
始めた時から辞めることを考える人はほぼいません。しかし、脱落しないためには最初が肝心です。
ここではネット販売を始めるにあたって注意すべきことを含めながら、売れる仕掛けを施すポイントを解説します。
CONTENS
ECを始める前に3つのリスクの確認
何事も始める場合にはリスクはつきものです。ポジティブなことに目を向けることは重要ですが十分にリスクをクリアすることが本当の準備です。
とはいえ、何事もリスクになり得るので、すべてを恐れていても意味がありません。問題となるリスクを認識しそれをクリアすることが大事です。
まずは以下の3つのリスクポイントを確認し、これをクリアしていくことを検討してみてください。
- 初期費用
- 入金についてのアイドル期間
- 運営に関わる人材の確保
この3つをEC開設に向けて準備している場合にはまず注目します。これはインターネットに関わることではなく、「お金」と「人」に関わることです。この3つをクリアすることは必ずしもITやWEBと直接関係のあることではありません。
しかし、ECプラットフォームの準備ができていて、商品があればすぐに始められると考えていた場合、この3つのトラップに引っかかってしまうことが少なくありません。
初期費用は計画が重要
スタートする時、聞き齧りでECを始めるパターンを意外によく見ます。また、良くも悪くも先入観を持って始める経営者は少なくありません。慎重な経営者はもちろん少なくありませんがECについて理解しているかというとそれはまた別の話です。
実際にECプラットフォームを準備することに関しては簡単なスタートを可能にしているベンダーが存在しています。そのため、そうしたケースではサイトの技術的な面での準備は手軽に完了してしまいます。
その結果、あまり背景の知識を醸成せずに始めてしまうことも、こうした理解不足の一因になります。
よく耳にすることがあるのが「ECは初期費用が少なくて済む」というものです。実際に初期費用が”他の販売方法よりも比較的少ない”ということは事実です。
しかし、これは「初期費用が”他の方法よりも”少なく済む」「実店舗をつくるよりも少ない」という意味です。「初期費用が発生しない」ということではありません。
無料で利用が可能なカートASPが存在し、宣伝もよく見ます。簡単に作ることができます。こうした方法であれば構築の費用はほぼかからないように思えるかもしれません。
しかし、今、多くの商品がインターネットで取引されていることを考えてください。
そのような状況では、例えば同じような商品を扱う事業者とすぐに比較されます。そこで抜け出すためには商品の画像はそれなりのものである必要があります。サイトの作りをそれなりに手入れしていく必要があることは間違いありません。
こうしたことは有名なBASEやStoresなど無料で使えることを一番にアピールするECでも同様です。よっぽど特殊な、自分たちしか生み出せない商品があり、それがとても魅力的で、かつそのことをすでに多くの人に知られているという場合を除いては、サイトの作り込みに何もしないで売上を出していくことは困難です。
では改めてコストについて考えてみましょう。費用としては、サイトの利用料と構築費用が発生すること、また構築にはそれなりに期間が必要であるということがあります。
もちろん専門的な知識をすでに持ってECをはじめる場合はこれとは違います。しかし、このページを見ている多くの人にとっては当てはまらない条件ではないでしょうか。
「ECサイト 無料」で検索をするとすごい数のサイトがヒットします。それはあくまで利用料の話であったり、専門家に頼らない場合に限られます。また、無料ASPの場合は成果報酬型にして分率を設定し売上から徴収しているビジネスモデルがほとんどです。
その結果、初期費用は抑えられてもランニングコストが膨らみます。利益率は悪くなっていくことになります。
結論として「初期費用は必要」です。少ない規模でやるという場合も構築に関わる費用はしっかりと確保し、制作会社に依頼するのであれば見積もりをとるといったことは忘れずに行うべきです。
また、補助金などが活用できる場合があります。国や各自治体によってそうしたものが設定されていることがあるのでもし利用できるのであれば活用するのも良い方法です。
販売による売り上げの回収は現金払いではないことを忘れない
次のポイントは入金サイクルについての話です。実際にこれは初期費用とも関連する話ですが、あまりに見落としがちなので別項目で建てられる課題になっています。
まず、みなさん思い出さなければいけないのはECの決済についてです。多くの場合はクレジットカードや電子マネーが使われています。クレジットカードは実際に決済の60%を占めています。これが意味することは、売上はすぐに入金されないということです。
基本的に1ヶ月、サイクルのタイミングを考えると最低限2ヶ月は入金までに時間が必要と考えて計画しておく必要があります。
最近では締め日から入金のサイクルが早いパターンでの決済代行も増えてきました。それでも半月程度は待つ必要があります。
これによって何が起きるのかというと、「初回の入金まで売上金は入っていこない」ということになるということです。
つまり、もし初期期間の売上をあてにして資金を回転させようと考えている場合は、その分の金額がすっぽり抜け落ちて大変なことになるということです。
仕入れなどの運転資金については2ヶ月程度、アイドルを持たなければいけません。
ECの人材確保は今後さらに難しくなる
3点目の課題はEC運営を実際にする人は確保されているのかという部分です。これまた、手間がかからないと一部に思われている傾向があるのがECです。
実際には多くの業務があり、何もしなくても売れるということはではありません。また、売れたら売れたで手が必要です。
- 商品管理
- 顧客対応
- 受発注管理
- 在庫管理
- マーケティングアプローチ
- 集客
- 情報更新
ざっと上げていくだけでこういった業務があります。その他にも様々な業務が付随してくることはいうまでもありません。多くのECではこれを少人数で行っており、膨大な業務量をいかにこなすのかが課題になっているのです。
ECに関わる業務を最初のうちは兼任できるかもしれません。しかし、それは現状を回すだけであり、上積みを期待したものにはならないでしょう。つまり、ここには人的リソースが必ず必要になってくると考えた方がいいでしょう。
問題はEC運営に精通している人材を確保していくということは簡単ではないということです。特に日本では人口減で労働者人口は先細りの傾向があります。優秀な人材であればあるほど確保するのは困難になる傾向はよく指摘されていることです。
しかし、今後はEC経験のない人材であっても採用が難しい時代が来ると言われています。就職市場はもはや買い手市場ではなくなっています。
とはいえ、人員を確保することはコストと直結することです。最初期の段階で人材確保をしようというのは難しいことかもしれません。しかし、ある程度の手弁当での運営を計画している場合も、人材確保についての現状を理解していくことは重要です。必ずしもインハウスではなく、外部の専門家に依頼するとしても理解があるのとないのではスタートへの挙動に違いが出てきます。
ECスタートで何かが発生する前に取り組むべき6つのこと
され、3つの注意点についてお話ししました。実際にはそのことは「お金」「時間」「人材」に集約されているとも言えます。そして、その3つのことをクリアするにはどれもプランが必要です。
計画をあらかじめ引いていおくことでトラブルを回避し、より強いEC運営ができるようになります。
まずは利益の出る仕組み作りとお金の整理
初期予算が重要であるという話は前段でくりかえし登場しています。そして、もう一つが利益体質にできるかどうかという話です。
ECで扱う商材の粗利をまずはしっかりと確認してください。その利益の中から、梱包に関わる包材などのコストも発生します。送料の扱いをどうするか決めておかなければなりません。送料を無料にするのであればそれも粗利からマイナスする数値です。そして期間で発生する固定費についても考えてみてください。
ECをやるからには利益が出る価格設定になっていなければいけません。そして、そのためにはコストをしっかりと把握しておく必要があります。まれにコストが計算されず「ECがあまり儲からない」という意見を聞きます。実際にECは儲かる仕組みであるはずですが、こうしたコストの計算を省いても儲かるというものではありません。
事業を開始する前にしっかりと計算しておくことが重要です。特に、リピート施策としてポイント付与などをする場合はしっかりと考えておく必要があります。ポイントの付与率が高すぎて利益を減らしているといったことにならないよう注意してください。
どういったことにどれだけコストが発生しているのかを冷静に見極めて価格を決定したり、効率化できる仕組みを入れるといったことを考えることが重要です。たとえば効率化のためのデジタルツールは数多くありますが、そうしたツールに対して、事前にコストのことが分かっていれば費用対効果を考えやすくなります。
ECについての知識をどう取り付けていくのか
ECには多くの作業があります。運営していく中での課題は、社内の運営に関わるスタッフがいかに専門知識を身につけていくかということが一つ挙げられます。WEBの世界では分業が進んでいますが、それは一重にそれぞれのジャンルごとの専門性がどんどん高くなっているからでもあります。
インハウスで作業を行なっていく場合、知識の吸収という部分では頭打ちになってしまうことはある程度やむを得ない部分があります。それでも特定の専門知識は取り入れていきたいところです。
JAVAやCSSなどについては、担当者が手を出し始めるとなかなか際限がありません。知っていて損はありませんが、それよりももっと全体的なことを把握していることがよいでしょう。また、分析やSEOについては概要を理解しておく必要があります。それでも全部を1人で深く理解し、実施まで行うことは難しいかもしれません。
構築の時にもし外部の専門家に依頼したのであれば、そうした企業と関係をキープしておくことが、こうした課題に対する回答の一つとなることもあります。共同で作業していくことで少しづつ知識は共有されることも少なくないからです。
やりたいことに対してなぜできないのか、どういったことにどのように費用が発生するのかを知っていると、課題に対しての解決のためのルートを探しやすくなります。
そうして考えると、最初に構築を依頼する企業の選択は非常に重要です。作ったら完了というのではなく、できる限り長く関係をキープして付き合える企業を選ぶということも選択のポイントにしておいた方がいいでしょう。
人の集まるサイト作りプランはプラットフォーム選択前に完了する
プラットフォームを決める前にどうやって集客を考えていくかのプランを持っていた方が有利です。これは、プラットフォームによって集客方法の得意不得意が発生するからです。
例えば、SNSを活用しよう、その中でもInstagramを中心にして集客していこうと考えていたとします。その場合、選択するECプラットフォームはInstagramと連携しやすいプラットフォームであったほうが絶対に有利です。そして中には特定のSNSと連携がしにくいECプラットフォームもあり、そういったものを選んでしまった場合は予定が大きく狂ってしまうことになります。
先にECプラットフォームを選択してしまうとこうしたことが起こる可能性は十二分にあります。逆にプランを先に練ってあれば、思う通りにならないECプラットフォームを選択することにはならないはずです。
ECでは集客は切ってもきれない関係にあります。どういった方法で集客を考えておくかは早い段階で決めておいた方がメリットは少なくありません。特にECプラットフォームを選択する段階には決めておきたいものです。
リピートを考えることは利益確保の生命線
ECの売上を安定させるのは常連客の確保です。一度購入してくれたお客さんは購入に対するハードルが低くなります。一方で新規の顧客を確保するのは自社ECであればなかなか大変な作業でもあります。
一度購入してくれたユーザーに対して、もう一度購入してもらえるようにいろいろと工夫していくことは、売上を安定させるためにとても重要な作業です。
インターネットは世界中から閲覧者を集めますが、かならずしも全員が購入の対象にはなりません。ところが、一度購入してくれたお客様というのは、実際に商品を必要としていた人です。また、そうした人のほうが再び商品が必要になる可能性は圧倒的に高いのです。
ECの業務としては、リピーターをいかに大切にし、増やしていくかでその後の展開が確実に変わっていくことは間違いありません。リピート施策についてはオープン前までには考慮しておくほうがいいでしょう。
何を売るかだけでなく誰に売るのかを考える
誰に売るかを考えることでECサイトのあり方も変わってきます。画像のテイストや言葉の言い回しまで、ターゲットに合わせて変化するものです。
つまりターゲットの設定はECサイトの構築に着手する前に、ある程度決定しておく必要があります。ターゲットに合わせた構築を目指したほうが、あとから変換していくよりも圧倒的に効率はよくなります。これは逆に言えば、一度作り終えてしまうと変更は簡単ではないということでもあります。現実的には2度手間になるということを覚えておいてください。
それぞれアプローチをしていく層によって訴求する内容は確実に変わっていきます。
- 性別
- 年齢
- 職業
- 趣味
- 生活時間帯
などです。こうしたことは近年、SDGsなどの流れで露骨にアピールすることは避けられる傾向にあります。しかし、マーケティングアプローチとなると、厳然としてその傾向が現れてくるため、考慮せざるを得ない項目であり、考慮すべきです。
こうしたターゲッティングをして、見せ方を考えることは非常に重要です。ジェンダーなどに寄せるということではなく、そのターゲットに刺さる表現は何かをしっかりと考えたものを打ち出すことが重要です。
かならずしも決まった回答があるわけではなく、商品のイメージに対してターゲットを意識していくことが重要です。
ブランディングを考えることが大きな回転を作る
自社のためにECプラットフォームを用意し事業を展開していくのであればブランディングを考えていくことはそのプロジェクトの中心になるでしょう。
ただ、ECを初めてもそれはただサイトがあるという状況を作るにすぎません。集客は非常に重要ですが、闇雲にセッションを集めても実際に購買につながなければ意味がありません。
ECの事業全体を通してブランディングを進めていくことは、ECの根幹にあります。ブランドを好きになってもらうのにはどういったことをECを通して行なっていくのか。SNSやCRMなどを活用したマーケティングなども含めて、そこに集約していくことで、ECが大きな回転力を持ちます。ユーザーはよりブランドに愛着を持ち、周りの人に推薦してくれるようになったら、その回転は大きくなっていきます。もちろん、期間での客単価も上昇するでしょう。
ECではブランディングを考慮した構築、運営ができるかは成功への大きな鍵を握っています。これからECを始めるというケースではもちろん、これから再スタートを切るという場合にも、ブランディングを意識して計画を進めてください。
まとめー結果がすぐに出なくてもあきらめずに
帰り道沿いにあるコンビニや駅の近くにあるスーパーなどと違って、ECでは「あそこに行こう!」という意思をユーザーに持ってもらわなければ売り上げにつながりません。
そのため「好きになってもらう」という作業が売り上げを伸ばしていく大きな仕掛けになります。
好きになってもらうには商品そのものに強い魅力があったり、とても便利であったり、タイミングよく紹介されているといったことなどが繰り返しおこることが重要です。
ECプラットフォームがそうした”好きになってもらうための作業”ができる下地をもっている必要があります。そしてそうした施策を盛り込めることが重要になってきます。
とはいえ自社でのECサイトでは結果がすぐにでないことも少なくありません。なかにはどうしてなのか明らかな原因が自分たちでは見えない、あるいはクリティカルではないことも少なくありません。そうした時はもう一度、6つのポイントを振り返ってみてください。どれも即効性はなくとも、確実に効果がでてくる作業です。
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この記事を書いた人

鈴木隆太 株式会社かいな
1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。