【ECプラットフォームの乗換え比較】ECサイトの新規構築やリニューアルでプラットフォームを選択するポイントを紹介
2022.08.26
ECプラットフォームを選択する作業はEC事業の始まりだけでなく、リニューアル時の乗り換え、体制の大幅な変更、ビジネスの拡張時など、幾度となく発生します。
どんな場面であっても、ECプラットフォームを選択する作業はクリエイティブでポジティヴな気持ちになります。しかし、選択の失敗も起こります。そしてそれは大きな後悔を生みます。
ここでは複数のECプラットフォームを比較するときのポイントと、事前に抑えておくべきことを中心に解説します。
CONTENS
なぜECプラットフォームを乗り換えるのか〜乗り換えのススメ
ECサイトの乗り換え作業。継続してWEBでの販売を行っていると、自社サイトとして運営しているものであれば、どのようなプラットフォームを使っていてもどこかで必ずリニューアルするタイミングがやってきます。
リニューアルへのカウントダウンはEC運営を開始すると同時に始まっているともいえます。使い始めた途端に少しずつ古くなり始めるのが現実です。
ECプラットフォームはどんなものであっても使い始めた途端に「あれがしたいけれど、、できない」「こんなことをやってみたいけれど工数が多い」などなど課題が溢れてきやすい傾向にあります。
特に初期の導入の際にはその傾向は強くなります。しかし、これはどうにも避けられない部分もあります。
どこが不足しているのかを事前に予測して把握し、構築時に事前に対処していくことはかなりの経験があったとしても困難なことだからです。
そして、オープン後であっても、その都度、出てきた課題に対して、現状で活用できる機能と折り合いをつけながらカスタマイズしつつ対応できるケースも十分にあります。
それでもカートASPでECを始めた場合、どうしてもシステム側を修正するのは難しい状況に追い込まれることも少なくありません。カートASPの場合はあくまで事業者が提供している範囲での構築、運営をしていかなければいけません。
そういったケースでは考え方を切り替えて、作業のプロセスをシステムの仕様に合わせていく必要が出てきます。また、利用したい決済などはベンダーの対応を待たなければいけません。決済などベンダー側に依存せざるを得ない項目の場合はあるいはそのまま利用できないままというケースも実際には少なくありません。
実のところ、こうした状況になることはよくあることです。ECでの課題としては序の口で、まだまだ乗り換えのタイミングとは言い難いといえます。
また、実際に乗り換えるタイミングを判断するのは難しいことです。ただし、上記のような不満が積み重なり、実際にチャンスロスを大量に起こしているのであれば変更は早期の段階であってもありえるかもしれません。
しかし、リニューアルには構築のための新たな出費だけでなく、制作のための時間も必要になります。そして、すぐに変えてもまだ問題をクリティカルにできていない状況であったならその対処は浅くなり、無駄な投資に終わる可能性をひめています。
そう考えると安易に行うことは非常に無駄が多く、あまりスマートな選択ではありません。しっかりと現状の課題と方向性を見定め、必要なものを把握してから、乗り換えの検討に入るのが良いでしょう。
ですので、まずは可能な範囲でサイトを改変し、様子を見ながら一定期間は使い続けることが基本戦略です。追加できる機能を追加し、デザインを修正したり、場合によっては外部のシステムなどを使いながら日々の運営を行うことになります。
リニューアルのタイミングの判定
タイミングとして適切と言えるかは様々な判断があります。こう言ったケースではまず一般的な基準に乗っかり考えてみることです。まずは以下の2点を軸に評価して分析し、考慮するとよいと考えます。
- 成長の結果、作業が飽和し対応を持て余している
- あるタイミングから停滞している
この2つの状況が発生している場合はサービスの乗り換えを含めたリニューアルの検討時期に入っています。この2つのポイントは実際には同じようなことが起因している可能性があります。
マーケティング的な視点での構築と機能
集客に関わる作業についてマーケティング的なアプローチをする上ではECプラットフォームの果たす役割はSNSやCRM、配送管理、在庫管理など他のシステムとの連携であったり、SEOに強い構造をもっているかなどといった部分にあります。
TwitterやInstagramなどのSNSの存在はECにとっても無視できない存在です。またCRMについては日々の業務にも関わり、マーケティングアプローチとも関連する重要な部分です。配送や在庫の管理システムは日々の業務を効率化する要素を握っています。
どちらもシステム的な要因ですが、まずはマーケティングアプローチを適切にできているかということも重要です。これはシステムというよりは運営の進め方の問題になります。ですので、こうしたケースではリニューアルではなく、別にコンサルタントが必要であったり、具体的に施策を打てる体制づくりがまずは必要な案件となります。
ですので、ある特定の手法に関わることよりも運営の効率を著しく低下させたり、効率化ができないことなどを見ていくことになります。
また停滞という意味では、1つ目に揚げた項目の作業が行き届かない状況も停滞といえる状況です。このような状況下ではマンパワーを補強しても業務のニーズに吸い込まれていくだけです。適切なシステムへの大規模な改変のタイミングはこの辺りにあるといえます。
リニューアルの効果は一時的なインパクトも生み出します。既存の顧客への再来を求めて2回目のスタートダッシュを図るタイミングとしても適切にマーケティング的に活用することも重要です。
そしてこれらのケースでは現状維持を考えるのは後退していると考えた方がよい状況です。どうなると快適になるのか、抜本的な見直しも含め、維持する部分を考えながらリニューアルを考慮していく必要があります。
また、これは余談ですがリニューアルする時、ドメインを変更せずにできるのであれば、本当に特殊なケースを除いて、ドメインは維持したまま更新してください。
わずかな集客であっても残っている場合はそれも利用価値のあるものです。集客効果が見えないコンテンツであっても何かのきっかけで集客効果を生むケースもあります。WEBの場合はすべてのコンテンツに可能性があります。もしないようにそぐなわない場合は修正などで対応します。
乗り換えのパターンをECプラットフォームの種類別に考えてみよう
ECプラットフォームには種類がいくつかありますが、それによる組み合わせや導入時、リニューアル時で選択肢が変わってきます。
ECプラットフォームとしては
- モール
- カートASP
- ECパッケージ
- フルスクラッチ
大きくわけるとこの4種類になります。厳密にはECパッケージの中にオープンソースのものがあったり、他にもカートASPの拡張版としてクラウドECが存在します。
クラウドECはECパッケージでの構築による自由度を目指して開発されているものです。それは少し境目が曖昧ですが、ボトルネックになる部分の多くはカートASPと同じような状況にあります。
モールは他のECプラットフォームと並存したり連携できる
モールでのECだけは立ち位置が少し特殊です。それはなぜかというと自社サイトではないので、複数のモールに出店したりすることができ、また自社ECサイトとの併用が可能であるという点にあります。別に独自でECサイトを立ち上げても他の方法と違い、そのまま継続することが可能です。
またECモールは越境ECを考慮した場合には最初の選択肢になります。大手のECモールの中にはそのまま海外のサイトで表示される仕組みを持っているAmazonのようなサイトや、楽天のように中国の大手ECと提携しているといったケースもあり、海外での販売はかなり手軽になってきました。
新規スタートの選択肢はまずモールとカートASPで
新規でECを事業として始める場合であれば、モールかカートASPという選択肢が一般的です。カートASPも月額の利用料が3000円程度のプランを利用するのがサービスの導入後もスムースにある程度の機能を使える範囲が広いことが多いです。実際にカラーミーショップ やShopifyなど大手のASPもこの価格帯にユーザーが多く、ボリュームソーンになっています。
自社ECも含めてインディペンデントでのECの裾野を広げているのは無料で利用できるカートASPです。企業だけでなく、個人やスタートアップに向けて販売窓口を作るという点での貢献度は非常に高いものがあります。BASEやStores.jpなどがここに該当します。
最低限の機能は付属しており、特定の使い方にハマれば十分に能力を発揮してくれるため、無料だからあまり使えないと侮ることはできません。しかし、カスタマイズに制限が多かったり、販売金額に対する利用料が結局、定額のものよりも高額になるということも起こるため、初回の選択時でも十分に注意する必要があります。
それでも売り上げ規模の少ないビジネスでは大きな選択肢になることは間違いありません。料金が負担にならないことは売上の見えないインディペンデントでの事業にとって強い味方です。
リニューアルを検討の場合はモールを始めていて、新たに自社でのECサイトを構えるパターンがまず一つあります。この場合は切り替えるのではなく、もう一つ追加する感覚で自社ECをスタートさせることが可能です。
自社ECサイトの乗り換えが難しい
現状のECサイトに限界を感じてリニューアルするパターンとしてはカートASPを使っていてさらに拡張を求めるパターンが一般的です。その場合の選択肢は
- よりスペックの高いASP(クラウドECなどのSaas系も含めた)
- ECパッケージ
- フルスクラッチ
ということになります。
スペックの高いASPで十分にリニューアルの要件を満たすことも少なくありません。また実際にこのクラスでのカートASPを活用するメリットはまだまだあります。メンテナンス性に優れているためアップデートなどの管理の手間が一部かからないのも魅力です。そのため、もし目的と機能が合致するのであれば強い味方です。ただし、期間を通したトータルしたコストを計算する必要も出てきます。
ECパッケージは拡張性に優れており、概ねの要望は達成できます。一方で構築で必要になってくる知識などは一般的なASPとは変わり、専門的なものを要求されるようになります。メンテナンスも別途、人件費や外注費が発生してくる可能性は少なくありません。安全面ではオープンソースの場合、他の構築方法と比較すると歴然と劣る側面があります。そのためん販売型のECパッケージとは少し線を引き、分けて考えなければいけません。
フルスクラッチはフルオーダーのシステムです。計画規模も予算も他のECプラットフォームの構築とは大きく異なってきます。もし、フルスクラッチ以外の手段で達成できるのであれば、あえて選択しなくてもよいかもしれません。もしフィットする方法があればそれを選択した方が費用も工期も圧縮することが可能であります。
データ移行に問題がないように
ECサイトのプラットフォームごとリニューアルしようと決定した後、ECサイトの移行に関わる要因以外のことをその選択肢の中から考えて次のプラットフォームを選択しなければいけない部分があります。
一つ目はなんといっても既存の蓄積されたデータの移行です。
データはECサイトだけでなく、その事業全体の財産です。顧客のデータベースには顧客情報だけでなく、購入履歴なども含まれます。それは個々のお客様がどういった嗜好をもっているのか、どういったサイクルで購入しているのかといった情報を教えてくれるものです。
「元々使用していたECサイトのデータが効率よく出力できない」という場合は、そもそも今まで使ってきたシステムの問題です。これに関してはなんとも言えません。これは移行先への問題ではないからです。
現状の利用しているシステムの問題ですので論じてもどうすることもできないところです。あえて言うなら、顧客情報のダウンロードに対して配慮のないシステムは最初の時点で避けておきたいところです。
移行先がどのようにデータを受け取れるかということであれば十分に下調べをすることで対処が可能です。
直接のデータ受け渡しが難しい場合もあります。そのため、可能な方法はあらゆる手段を考慮しておく必要があります。データ変換用のコンバーターを用意しなければいけなかったりすることもあるかもしれません。もしデータ変換のAPIなどを活用できるのであれば一時的な利用も考えてみる必要があります。
実際のところ、移行先が柔軟性のあるシステムであれば、既存のシステムからの出力が可能なら、なんらかの形でデータを受け取ることができるでしょう。ただし、多くの場合はデータを受け取れる状態に整理するなどの作業が発生します。
こうした部分はトラブルを生みやすい箇所でもあります。極力ストレスのない形が理想的です。
そうであっても、どうすれば負担が少ないかはしっかりと事前に考慮して挑む必要があります。移行先のプラットフォームについてもしっかりと考慮し、選択肢の中でしっかりと比較してください。
もちろんそれだけでなく、作業は慎重に行ってください。コストと時間がかかる場合もありますが、そればかりは必要経費です。テスト期間を設けてから以降します。スムースなデータの移行は多くの負担を減らし、リニューアルでの再スタート時に多くのアドバンテージを生みます。
そのリニューアルでプラスアルファがあるかどうかももちろん重要
もうひとつの比較ポイントは「プラスアルファを狙えるのか」という点を考慮することです。現状の機能改善だけを追い求めていても、リニューアルした意味や効果はとても低いものになってしまいます。
しっかりとプラスアルファを求めてください。トラブルに対処するだけでなく、今までのECプラットフォームについて、不足していた部分だけでなく、どういった領域にチャレンジできていなかったのかを考えてみることはとても重要です。既存のECサイトの運営期間の中でやろうと考えていてできなかったことを実現するのもリニューアルの重要な役割です。
要因がシステム的なことで挑戦できるようになるのであればリニューアルは大きなチャンスになることは間違いありません。
データ移行についてはあくまで確認して回避すべき部分です。これは選択時の比較対象のポイントとして考えるというよりは可不可を確認する作業です。そもそもデータ移行に全く対応できないプラットフォームの場合は比較ポイントというに及ばず、選択肢から除外されることになります。
課題解決と理想の実現がポイント
比較するべきポイントは以下の2点です。
- 抱えていた課題に対処できるプラットフォームであるか
- 描いたヴィジョンにチャレンジできるプラットフォームであるか
近視眼的な課題解決だけでなく、理想を具体的にイメージできると言い換えてもいいかもしれません。EC事業は数字の意味することを捉えていかなければ、どうしてもふんわりとしたイメージで手探りになってしまうことが少なくありません。その結果、運営の方針もフラフラとながされてしまうことになります。そうではなく、明確に目指した方向に向かってトライ&エラーを繰り返しながら前進していくことこそ重要です。
そのため、ECプラットフォームとしてトライできるということは非常に重要です。チャレンジできるか否かは比較する時の重要な要素と考えると、乗り換え後も納得のいくものになりやすくなるでしょう。
万能は万能にあらず
万能であることを強調するものは世の中少なくありません。汎用性の高さはものごとの始めや中盤に差し掛かるまでは非常に重宝します。ECプラットフォームも同様です。序盤にはカートASPの勘弁性や分かりやすさ、そしてほどよく万能な機能郡は助けになります。
しかし、ステップを踏んでいくとそうは行かない場面が増えてきます。もっと特化した機能が欲しくなってきます。それらしいことはできるけれど深くは入っていけないという状況になっていきます。
実際に万能をうたうシステムのケースとしてそういったことは頻繁に発生します。ECプラットフォームも同様です。プラットフォームとして様々なことに対応することがまず第一義にあるため、そうした点は避けられません。
また、ある程度、どういったプラットフォームであってもそれなりのスペックがあれば汎用性を打ち出すだけの機能はもっています。しかし、選択する時にそれは一応可能としている機能なのか、それともそのシステムがフォーカスして搭載している機能なのかで大きな違いが出てくることは確実です。
やりたいことと設計思想の一致が理想
乗り換え時の選択の時は特に必要なのはフォーカスしたいことと設計思想が一致するものを選択することです。そうすることでしっかりと狙った方向のEC事業展開が可能になります。ある程度、業務を把握している場合、万能は万能ではなく、半端になることが多いということは覚えておくとよいでしょう。
こうしたことはAmazonや楽天市場のようなECモールについて考えてみると非常にわかりやすいところです。モールはECサイトとして出店者にとって汎用性は一切ありません。この場合、メリットだけを強め、デメリットについては切り捨てています。圧倒的な集客力を背景に、顧客に対してどのようにしたら利便性が高いのかということに集中しています。
リニューアルで選択する場合は、ある程度目的が見えていると思います。そのため、風評などよりも目的にあったECプラットフォームとの出会いを求めることが大切です。その上で、候補がいくつか並んだ場合に機能を比較をするという段取りで選択していくことが乗り換えの時に失敗しないためには重要です。
ECを積極的に利用したくなるECプラットフォームを選ぼう
ECプラットフォームの乗り換えを考えた時の選び方としては、比較ということだけではなく、絶対的に大切なポイントをもうひとつ挙げておきます。
それは「このECプラットフォームで運営運用をしてみたい」と思えるものを選ぶことです。単純なことですが、そう思わせるということはそのECサイトのヴィジョンをECプラットフォームの特徴に見ているからともいえます。
tri-coはECの楽しさを伝えるプラットフォーム
私たちが送り出すECプラットフォームはそうした意味で使いたくなるECプラットフォームを目指しています。
売る人だけでなく、買う人やそこで働く人もECで商品をとおしたコミュニケーションを楽しみ、それぞれに充実した気持ちを持てる、そんなECプラットフォームであるために、しっかりとそれぞれのポイントにフォーカスした機能を備えています。
また、充実した開発元のサポートと拡張性はtri-coでつながる人々のECライフの安心感を高め、しっかりとサポートするために役立ちます。
もう一つ「tri-co」の強みは導入から構築、そして運営のサポートまでをかいなはお手伝いすることができます。ECをとおしてよりブランドを強化したいというケースではより強力にその力を発揮していきます。
ABOUT US
この記事を書いた人
鈴木隆太 株式会社かいな ライター
1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。