ECプラットフォームを自社のニーズに合わせて構築する方法ー選び方とポイント

2023.02.10

自社のためのECサイトの構築には時間も予算も必要です。求めるものが多いほどそれはどちらも多くなります。だからこそ、ニーズにあったECプラットフォームを選ぶことと、構築の時に考慮するポイントを外さないようにしたいところです。

それは規模の大小に関係なく考えておきたいポイントです。この記事では何をポイントにECプラットフォームを選択し構築時にどのポイントを注意すべきかを中心に解説します。

ECプラットフォームと予算

元も子もない話ですが、ECプラットフォームを導入するにあたっては予算を考えることは避けられません。ただし、必ずまとまった金額の予算が必要かというとそんでもないところもECプラットフォームの話を難しくする部分です。

ECプラットフォーム利用に関する初期費用はゼロから始められます。また逆に予算に1億円クラスのプロジェクトを組むことだって考えられます。この距離は比べようがありません。

単純なECプラットフォームの割り切り方としては構築の自由度と機能の充実がECプラットフォームの価格に跳ね返ってくると思っておくとよいでしょう。自社サイトですので、ここではAmazonや楽天などのモール型ECについては触れません。またこれらは自社ECプラットフォームを構築するという趣旨からは外れます。そして、併用も可能な一つのサービスです。

実際のところ、その価格帯を順位付けすると上から順にこうなります。

  • 1.無料ASP
  • 2.オープンソース
  • 3.有料ASP
  • 4.クラウドEC
  • 5.ECパッケージ
  • 6.フルスクラッチ

では順番に見ていきましょう。

無料ASPのポイント

無料ASPはBASEやStores.JPなどのサービスです。2019年後にはとても大きな勢力になりました。そのため老舗の国内カートASPであるカラーミーショップが無料のプランを登場させたりしています。

無料とはいえ、基本的なECサイトの機能は十分に搭載しているところがポイントです。そのため、ECサイトとして問題があるわけではありません。また、売上に対しての従量課金制になっているため、売り上げがある程度上がると有料ASPより割高になるケースもあります。それぞれのサービス次第ですが、月の売り上げ¥100000あたりが閾値になることが多いようです。

マーケティングアプローチのための機能が少ないなど、無料なだけにECサイトとしては最低限の機能に抑えてあったり、追加すると割高になるといったケースもあります。

どうしても初期の予算を少なくスタートさせたいケースではとても強い味方です。構築も難しくないため、早ければ契約から数十分で始められたといった例もあります。

予算:⭐︎
構築難易度:⭐︎

オープンソースのポイント

プログラムが公開され、ライセンスを無料で付与されているシステムを使ったECサイトの構築方法を一般的に「オープンソース」と呼びます。プログラムを格納するサーバーが必要になるため、純粋に無料で使うことは困難です。安全性を考えると月額1000円程度のレンタルサーバーは最低限必要です。

メンテナンスや構築については全ての責任が使う人に帰順します。そのため、安全面ではこのラインナップ中では最下位となります。

実際のところ、無料で使えますが、構築に関しての自由度は高いです。ただし、専門的な知識がなければ構築することはできないため、外注するという場合は結局割高になります。

少し玄人好みのやり方です。社内に十分な人的リソースがあり、運営中のメンテナンスも内部でできるのであれば費用は抑えられますが、実際には費用的な面に惹かれて導入すべきECプラットフォームではないといえます。

活発なオープンソースであれば最新の機能を搭載するための開発が活発に進んでいることもあります。むしろ技術的に洗練されたものを求めるケースで導入されるべき手法といえるでしょう。

予算:⭐︎
構築難易度:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

有料ASPのポイント

月額で利用料を支払いECサイトを利用できるサービスです。前述の無料ASPと仕組み自体は変わりません。一般的に「カートASP」「ASPカート」と呼ばれるものを指します。

無料ASPと比較すると有料になることで予算のかかり方が違うため、サービスは充実してきます。また、オープンソースのようにサーバーを用意する必要はありません。

金額設定は数百円〜数十万までとかなりの振り幅があります。それぞれのASPでフォーカスしているポイントはもちろん違うため、自分たちが求めるものと一致していることが理想的です。

無料ASPとは異なり、多くの月額は固定金額で、売上が上がっても利用料が上昇しないのは魅力です。一般的には機能的にも多くのASPは年商1億円ほどは対応できる範囲にあります。

このカテゴリから選択する場合、各ベンダーやコースなどでかなりの振り幅があり、金額差もサービスや柔軟性やサポート体制に関連して幅が大きくなっています。とはいえ高額のプランで機能を持て余すこともあり、必ずしも最適とは限りません。

また、次に控えている「クラウドEC」との境界線はかなり曖昧になってきています。機能追加のための有料のプラグインを用意しているベンダーもあります。これはShopifyがもっとも代表的です。便利な機能を追加することができますが、思いがけなく月額が高額になるといったことも少なくありません。

また、自力で構築できるようなサービスから、より専門的な知識を要するようなものまで幅広く、構築の難易度が幅広くなっています。

予算:⭐︎⭐︎~
構築:⭐︎⭐︎~

クラウドECのポイント

クラウドサーバー上にECサイトに必要なプログラムを格納して利用するタイプのECプラットフォームです。カートASPとの技術的な違いとしては一般的なカートASPがクラウドサーバーでのデータ保管ではないことに違いがあります。クラウドECは一般的にSaaS型のECサービスです。そのためサービスを利用するためのソフトウエアをクラウド上に置いてベンダーは提供するサービスです。

感覚としてはECパッケージをクラウド上にアップロードしたような感覚に近く、自由度は格段にカートASPより高くなります。プログラムのアップデートはベンダーが行うため、カートASPの上位互換と考えるのがよいでしょう。

カートASPでの選択では物足りない、あるいは乗り換えでの選択肢として存在感を発揮し始めています。

予算:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎〜
構築:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎〜

ECパッケージのポイント

ECサイトのためのプログラムをライセンス販売しているタイプのECプラットフォームです。大体ライセンス取得に数十万〜数百万というのが相場です。ECパッケージの利用を選択する場合はかなり大規模なものであったり、特殊な機能を載せたい、他のシステムと連携させて使いたいなど、要望が立て込んでくるパターンが基本です。

ライセンス使用料も構築の費用もそれなりに発生することを考えると成功したECサイトのリニューアル時の選択肢という傾向は強くなります。構築にも確実に専門知識が必要になるため、その部分での費用も見なければいけません。

ただし、特殊な言語での作業が必要のないケースもあるため、一部の技術者しか作業ができないという状況を回避できれば柔軟性や構築しやすさなどは格段に変わってきます。ですので、それぞれのベンダーがどういったシステムを提供しているかによるという点についてはASPと変わりません。

一括りに考えるよりもそれぞれ個別にサービスの特徴を把握してベースとしてもっているものが、目指すECサイトと合うプラットフォームを選択することが大事です。

予算:⭐️⭐️⭐️⭐️〜
構築:⭐️⭐️⭐️⭐️〜

フルスクラッチのポイント

フルスクラッチはすべてをオーダーメイドで構築する方法です。基本的には大規模なECサイトを構築する場合に選択される手段となります。

基本となる部分はある程度、プログラムを流用する部分はあったとしても、基本的に技術力の限界まで好きなようにつくることができます。もっとも、好きなように制限なく作りたいからこそ選択される手段です。

新規のECとして立ち上がるというよりもリニューアル時の選択手段と考えるとよいでしょう。予算としても数百万〜億までと必要になります。

予算:⭐︎⭐️⭐️⭐️⭐️
構築:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

集客しやすい構造を取り込めるECプラットフォームなのかを考える

選択のポイントはそれぞれのブランドごとにフォーカスしたいポイントが違うと思います。ECプラットフォーム選びではその部分をしっかりクリアできることは非常に重要です。

それとは別に、共通して考えなければいけない課題が自社でのECサイトにはあります。それが「集客」です。

人が集まらないECサイトではどうやっても売り上げがあがることはありません。手段は基本的にオンラインでもオフラインでも構いませんが集客に対する取り組みは必ず必要です。

お客さんの来ないお店が繁盛しないのはECサイトでも同じことです。そして、何もしなければECの場合は誰にも存在を知られず、売り上げも上がりません。

ですのでECプラットフォームとしては

  • 集客にかかわる機能との連携がしやすい
  • コンテンツを蓄積できる

といった機能が付属しているほうが有利になります。もちろんそれぞれのマーケティングプランがあってのことです。デジタルマーケティングでは意外に人の力がたくさん必要なものも少なくありません。

ですのでECの運営チームが少数の場合はマーケティングプランをより絞っていくことが重要になります。そうした場合、構築に柔軟性のないタイプのECプラットフォームを選択する場合は、選択する時点で自分たちがどういった戦略で集客をしていくのかという方針を決定しておくことが重要です。

それなりに高額のプランが優れているのはこうした受け皿が豊富にあるという点にもあります。プランAがだめならプランBといったように戦略を変更していくことができるからです。無料ASPなどではそもそもそうした戦略の変更ができないといったことも発生してくることを覚えておきましょう。

構築のポイントは2つの使いやすさ

構築の時に気を遣うべきポイントはどこにあるでしょうか。かっこいい、お洒落など視覚的な部分でしょうか。

こうした部分はもちろん重要なのですが決まった基準があるわけではありません。そのため、求めるものによって難易度は大きく変わるものです。ですので誰にとっても共通した課題になるわけではありません。

それよりも視点として重要になるのは2つの立場から見た使いやすさです。2つの立場の一つはお客様となるべき、ユーザーにとっての使いやすさ、利便性です。どれだけ商品の力があっても、買いにくいサイト、探しにくいサイトでは流入はあってもお客さんになるというユーザーは少なくなってしまいます。

もう一つは運営する人の使いやすさです。こちらはランニングコストに影響します。通常50件を1日に難なくこなせるサイトがあったとします。それも構築や機能によっては100件の注文に対応することができるようになるかもしれません。あるいは逆にポテンシャルを残したまま20件程度の対応に落ち着いてしまう可能性だってあります。つまり運営する人の環境を快適にすることもまた、利益に直結します。

ユーザーの使いやすさ

ユーザーの使いやすさを考えることはWEBのデザインの第一歩です。ECサイトであってもその他のサイトでも基本的にメディアとして存在している側面があります。そのため”誰かに見てもらう”ということは基本的なテーマです。

通常の紙のメディアと違い、WEBはユーザーが決断してクリックするという作業があります。ECサイトであれば特にその側面が強くなるため、サイト内での動きやすさ、見やすさは非常に重要です。

  • リンクがどこにあるのか
  • リンクのクリックのしやすさ
  • リンクをクリックした先にどんな変化があるのか

こうしたポイントを抑えて構築するだけで使いやすさは大きく向上するはずです。どこから入ってどこへ向かうのかが分かりやすくなると、ユーザーは快適さを感じるといいます。たとえば決済の場合にも何ページで完了するのかといったことがわかりやすいことは大きな安心感を与えるはずです。

これらはいわゆるUI/UXデザインといった領域の話です。しかし、そうした用語以前に「どうすると分かりやすくなるか」を考え、工夫できることを行っていくことが重要です。

運営者の使いやすさ

ECサイト運営には様々な作業が付随します。もちろんワークフローはそれぞれのブランドによって変わってきますが、この部分を効率的でスムーズに処理できると負担は大きく軽減されます。

ほとんどのBtoCでのビジネスでデジタル商材が商品でない限りは、オーダーから発送までの作業が発生するはずです。もしたくさんの受注がある、あるいは何らかのマーケティング作業がある場合に、効率化されていない場合は作業が非常に多くなり、煩雑になることは間違いありません。

たとえば1日に30件の送り状印刷を考えてください。もし一つ一つコピー&ペーストをしていたら受注分だけで大きな時間を取られることになります。

現状はどうであり、どうなると改善されるのかということをしっかりと把握することが使いやすさを作り出します。運営の使いやすさは小さな積み重ねが重要です。

それでも、こうした受注から配送までのオペレーションや、マーケティングの効果測定などでは効率的なフローの型のようなものがあったりもしますので、そうしたことに理解のある設計をもっているECプラットフォームを選ぶこと、また、小さく改変できることで大きな効率化を生む可能性もあります。

SEOを考えてみるのも良い方法

SEOについての基準をGoogleでは公開しています。どれも具体的にこうしましょうと細かく明言しているわけではありませんが、SEOの考え方をまず掘り下げてみることは、実はユーザーにとっての効率的な環境をサイトにもたらす可能性があります。

GoogleではSEOについて「検索ユーザーにとって利便性の高い情報を優先的に表示する」という大前提を明言しています。そのためのアルゴリズムの更新であり、アップデートなのです。

SEOというとキーワードに囚われてしまいがちです。しかし、他にも、サイトの安全性やページの表示速度であったり、クリック要素の距離、文字の大きさなど、見やすくて使いやすいサイトであることが評価される基準が設けられているのです。

こうしたことはまさにユーザビリティに直結していることと言えます。つまり、こうしたSEO基準に準拠していくことはユーザービリティを上げる作業であるということも忘れてはいけません。

まとめ

様々な構築方法のなかで、自分たちの条件を満たしてECサイトを構築し所有するには、予算という要素を除けば2つのことが大事だということがわかります。

まず自分たちのブランドはどういった戦略を描いていくのかということをしっかりと掘り下げて、そのプラン実現に一番近いECプラットフォームを選ぶことです。

そしてもう一つはサイトを使う人のことをしっかりと考えることが大切です。顧客を増やすということと、効率よく運営できるようなサイトを目指してみてください。

ABOUT US

この記事を書いた人

鈴木隆太 株式会社かいな

1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。

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