ECパッケージで自社ECサイトを構築するためのポイント〜拡張していきたい時の最適な選択肢
2023.03.24
ECパッケージは構築に自由度があり、オープンソースでなければ、しっかり管理することで安全なECサイトを構築することができるECプラットフォームです。
また、拡張に優れているという点も特徴のひとつです。
こうした特徴は自社ECサイトの中でも企業としてECに力を入れている、あるいは力を入れていきたいというケースでは優れた選択肢となります。ここではECパッケージを使った構築について解説します。
CONTENS
中規模以上のECサイト構築ならECパッケージが良い理由はこれだけある
ECパッケージを選択するケースとしては主に以下のようなパターンが考えられます。
- 現状のECプラットフォームでは処理が追いつかないため、リニューアルした時の選択肢
- EC特化で初期から潤沢に予算があるプロジェクト
ECパッケージのニーズがもっとも高いと考えられるのは1番目に挙げた、まずはある程度の目標を達成し、飛躍のためにリニューアルを求めるパターンです。
こうしたケースではある程度顧客がすでに自社ECサイトについているということが前提にあります。そのためサイト自体の規模を大きくしていくためにはスムーズに顧客情報などを引き継げる必要があります。その上で、リニューアル以前には機能的に制限があって取り組めなかったことに取り組めることが重要です。
ですので柔軟にデータの取り込みが可能で、かつ機能も豊富なECプラットフォームを選択することになります。
柔軟という面ではフルスクラッチでの構築が得意な領域ですが、その場合、構築のための予算と工期が問題になります。また、そこまで独自性を盛り込まなくとも、十分ECパッケージで柔軟な構築は可能になってきています。そうすると次のステップとしてより現実的な選択肢としてECパッケージが候補になってきます。
また、初期費用をかけてリニューアルとして構築するのであればバックヤードの効率化ができることも望まれます。そうすることで対応件数を増やし、業務負担を減らすことが可能になります。
システムとしてのキャパだけでなく、バックヤードで働く人の効率も考えなければスペックは無駄になることを考えるとここは対応しておきたいところです。
こうしたポイントについて、ASPで対応する場合は、システムに人が合わせる場面が多くなります。このポイントをECパッケージの柔軟さによってそれぞれの課題を受け止められる可能性は大きなものがあります。
人的資源の活用を抑えて効率化できるようにすることが可能であるという点もECパッケージが選択される理由です。
こうしたところは、売上がある程度見える、一段、ビジネスとして進展している状況にあるECサイトであれば、売上も見えやすいため投資しやすくなります。
EC特化で初期から予算も、また技術者も十分にいるという場合にもECパッケージでスタートするケースはあります。しかし、初期の集客は非常に予測しにくいものがあります。そのため初期から大規模な拡張を前提にしているECの場合は、広告予算なども含めたイニシャルコストが十分にあるという場合に限られます。
見落とされがちなサーバーが選べる重要性
ECパッケージはECサイトのための機能を一式所持しているプログラムを、用意したサーバーにインストールして利用する仕組みになっています。そしてその一部をインターネットに公開し、閲覧できるような仕様になっています。
当然ながらそうしたページを表示させ、買い物ができる機能、決済ができる機能、配送先住所などの顧客情報を保存できる機能などが搭載されています。
そこでは常にデータの読み出しや書き込みが行われることになります。
もしサーバーのスペックが低いと挙動の重たいサイトになります。また、しっかりと仕様を考えておく必要があり、そうしないと安全性に問題のあるサイトになる可能性もあります。
ECという場合、マーケティング的なことが基本的に語られることが多くあります。しかし、それはこうした基本機能の安定感や精度の高さ、安全性が前提にあります。マーケティングテクニック以前の、基本的な信頼感を担保しておくことは非常に重要です。
ですので、実はサーバーの持っている要素は基本として考慮する必要があることを認識しておかなければいけません。
また、SEOの基本としてページの読み込み速度の速さはある一定以上の速度をクリアする必要があります。あまり遅いサイトは減点の対象になることをgoogleは示しています。
クラウド環境は非常に便利になってきました。しかし、まだまだこうした基本スペックについて課題があるということは頭の隅い置いておく必要があります。
そして、ECパッケージはこのサーバーが選択できるということがメリットにもなります。もちろん、サーバーの維持管理には経費が発生しますが、それは今のところ、メリットにもなります。
クラウドという選択肢のメリット
クラウドやSaaSといったワードはここ10年ずっと注目を集めている言葉です。インターネット上に仮想のサーバーを構築してそこにソフトやプラットフォームを構築し、利用するサービスを指します。
クラウドECはそのECサイト版です。カートASPの課題だった構築の柔軟性という課題をクリアし、メンテナンス性や足回りの煩雑な作業を減すこともできるという、ASPのメリットを生かし、デメリットを少なくするサービスとして注目を集めています。
最近では、このクラウドECを提供するベンダーも少なくありません。もともとはパッケージのライセンス販売をしていた事業者と高品位カートASPのベンダーの両方がこの市場を狙って動いています。
ECパッケージと比較した場合のクラウドECのメリットはなんといってもメンテナンス面にあります。セキュリティ関連のアップデートを利用者が行わなくて良いというのは大きなメリットです。
こうした部分を常日頃から意識しなければならない状況から解放されるということは大きなプラスと言えるでしょう。
もう一つは初期の費用を少しだけ抑えることができるという部分があります。しかし、実際のところ、構築に対して発生する費用はECパッケージとさほど変わらない金額が発生します。そのため、差が出てくるのはライセンス取得にかかわる費用分のみとなります。
内製化していくならオープンソースも選択肢に
ECパッケージの中にはプログラムの使用許諾が解放されているものがあります。いわゆるオープンソースです。
この辺りはすこしややこしく、ECサイトの解説サイトではオープンソースとECパッケージを別のものとして紹介しているものも少なくありません。しかし、実際には仕様として同じものです。
オープンソースはプログラムを解放することで有志のプログラマーが開発を進めていくもので、ECパッケージ以外にもPCのOSなどに使われていたりとプログラム開発では盛んに行われる手法です。
これによえり開発予算を押さえながら技術の発展を促しています。またオープンソースを応用して製品版に落とし込むようなケースもあり、デジタル領域の発展には欠かせない存在です。
ただし、使用者にはサポートがなく、プログラムが公開されていることによって安全性は低下します。ECにとってはここが大きなネックになります。
初期のライセンス使用料が発生せず、充実した機能を活用できるという反面、メンテナンスには気を使います。それでも、ある程度内部にこうしたプログラム、WEB技術に強いスタッフがいるという企業であれば有力な選択肢にしてもよいでしょう。実際にオープンソースのEC-CUBEを使って構築している大手企業のECサイトもたくさんあり、導入する環境によっては悪くない選択になるはずです。
構築からフォローまで専門分野を依頼できる選択を
ECパッケージを導入するレベルまでのECサイトを要求する場合、しっかりとシステム的な部分でも、マーケティング的な部分でも十分な対応力のある体制作りが必要になってきます。
例えば、ECサイトの構築をする場合でも、カートASPではなんとか自力で公開まで進めることが可能です。しかし、ECパッケージ、またクラウドECを含めても自力での開発は困難です。普段、WEB閲覧しかしないという程度の知識を持つ人が取り組んでもおそらくまともなものに仕上がらないでしょう。
ですので、ここは専門家に頼るという選択をすることになります。しかし、構築時にしっかりとECの運営環境も考慮して開発してもらわなければ、使いやすいサイトになることはありません。
社内の仕組み、これはデジタル環境以外のものも含んだ話ですが、そうしたものも考慮した構築をしていかなければ高価なだけで使えないシステムができあがってしまいます。
ですので、WEBやECサイトを制作する技術が高い制作会社に依頼したり、構築のフォロー体制が充実したベンダーを選択するということも非常に重要ですが、何より、しっかりと社内事情を理解してくれる、受け入れる土壌のある企業に依頼しチームとして取り組む必要があります。
実はここは非常に重要なポイントで、せっかくそれなりに投資をして利用するシステムが効果的に動作するものであるためにはとっても重要なポイントになります。
構築時の仕掛けの面白さは胸躍るものですが、実際に買う人が使いやすい、販売しやすい、運営しやすいということが非常に重要です。そしてこうした部分は構築時の丁寧なヒアリングとアイディアの反映が重要なのです。
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この記事を書いた人
鈴木隆太 株式会社かいな
1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。