ECパッケージとは?その仕組みとメリットやデメリットを解説

2023.03.14

ECサイトの構築方法には「カートASP」「オープンソース」「ECパッケージ」「フルスクラッチ」といった方法があります。

カートASPを導入にすることが多く、より知られていますがECパッケージについては「どんな場面で選ばれているのか」「どういったメリットがあるのか」など知られていない部分が少なくありません。

またフルスクラッチはフルオーダーメードでのECサイト構築をするものです。そうした中でECパッケージはどういった立ち位置にあるのか疑問に思っている人も少なくありません。

ここではECパッケージについて掘り下げて解説します。

ECパッケージとは

ECパッケージとはECサイトを構築し運営するための機能一式が揃っているプログラム、あるいはソフトウエアのことです。様々な機能がECのためにパッケージになっているので「ECのためのパッケージ」ということでECパッケージと呼ばれています。

ECパッケージの基本的な仕組みとして、まず使用したいパッケージの使用権を入手する必要があります。このことは他のソフトウエアと同様です。基本的にソフトを入手するということはそのプログラムを手に入れるということではなく、使用する権利を得ているということを忘れないでください。

そしてそのプログラムをECサイトとして機能させるためにはインターネットに接続可能なサーバーへインストールし、公開する必要があります。

カートASPと圧倒的に違うのは、この「サーバーにインストールして公開する」というプロセスがないという点です。この仕様は非常に優秀で、EC参入の壁を一段さげました。

ECパッケージはECサイトが少しずつ広がり始める段階での基本的な構造を今でももっているやり方といえます。

ECパッケージとECの歴史

ショッピング機能を持ったWEBサイトの最初、つまりECサイトの始まりは1994年とする説があります。確かなこととしてはこのあたりからインターネットでの販売を始める事業者が増え始めたということです。

今やモール型ECとして大きな影響力を持つ楽天市場は1996年にサービスを開始しています。Amazonもこの頃にアメリカでスタートし、その後2000年に日本でAmazon.co.jpがスタートしており、1990年代後半のECの広がりのスピード感を理解してもらえると思います。

自社でその頃にECを始めた企業は、独自でプログラムを組む、いわゆる「フルスクラッチ」によるものがすべてでした。その後、ECは二つの方向で発展します。

一つは共通して使用されるプログラムをまとめた「ECパッケージ」です。そして1999年には今のカートASPの前身となるカート機能のサービスも登場しています。

ECサイトはWEBサイトの中でも「なんらかの商品を販売する」という機能を持ったサイトです。そのため、買い物をするユーザーが希望の商品を確認する商品ページ、商品を保存するためのカート機能、購入を決定するための決済機能が基本として必要です。

これらの機能を中心に顧客情報を保存するデータベースや購入ユーザーや見込み客へマーケティングアプローチをしていくための機能が追加されて発展していきます。

カートASPの発展は2005年くらいに総合的なEC環境を提供するようになりました。それ以前からECパッケージはあり、その後もSaasEC(クラウドEC)などが生まれ、常にECパッケージでできることをカートASPが追いかけているという現状があります。

ECパッケージはその柔軟性から、他システムとの連携を強める傾向にあります。

オープンソースという手段

ECではオープンソースという構築方法もよく目にするかもしれません。これはECパッケージのプログラムをオープンソースで開発したものを利用した構築方法です。

オープンソースとは、プログラムを公開することで、自由に開発者がプログラムをカスタマイズし、技術的な発展を支える仕組みです。ECだけでなく多くの分野のプログラムにオープンソースのものが存在しています。

厳密にはオープンソースはECパッケージです。オープンソースで作られたECパッケージがあり、それを使ってECサイトを構築します。日本ではC-CUBEがその代表的な存在です。

ソースコードが公開されているため、安全面では非オープンソースのものに劣ります。またサポートがうけられないため、そうした部分での費用負担は大きくなります。一方で、技術の進歩に対するアプローチが早く、社内に技術者がおり、早急に対応できるという場合は大きなメリットになります。

メリットとデメリットは相対的なもの

ECパッケージのメリットはまず以下のようなことが挙げられます。

  • ECサイトとして高性能なサイトを構築できる
  • 柔軟な構築が可能
  • ある程度大規模なサイト構築も実現可能

これらが一般的にECパッケージの持つメリットです。

こうしたメリット、そしてデメリットも他の構築方法と比較した上での話です。ですのですべてが相対的なものといえます。

例えば、フルスクラッチのように1から全てを作っていくと工期も長くなり、その分の予算も大きくなっていきます。それを簡略化できるECパッケージは登場当時、非常に画期的でした。今は、さらに簡単に構築が可能なカートASPが登場してきたため、その点においての優位性はありません。

しかし、フルスクラッチで構築するより工期も短く、予算は少なく済みます。これも逆にカートASPと比較すると予算があがり、工期も長いということになってきます。

比較する時はどこにフォーカスするかが重要になってくる

ECサイトの構築方法を選ぶという場面では、どの方法が優れているという比較はどうしても一面的なものでしかありません。規模ややりたいことが実現できるか、また、その次に予算にフォーカスすることが重要です。

とはいえ、ECパッケージは基本的に安価で簡単にECサイトを構築したいというニーズに応えるものではありません。そのため、予算は少なくとも数百万は必要になってきます。そのため、ECの売上規模などもそれなりに大きなものである必要があります。

便利なだけでそこまで投資する価値があるのかということは冷静に考えなければいけないということになります。

中規模以上の構築に

その結果としてECパッケージを選択するケースはまず規模感として中規模以上のECサイトを求めているというケースになってきます。

もし小規模なものでよいということであればカートASPで選択することで対応できます。また、より大規模なものとなるとフルスクラッチで対応することになります。ただし、多くの場合、今やECパッケージで対応できることが少なくないのも事実です。

最初期から中規模以上のECサイトを要望することは多くありません。そのため、多くの場合はサイトのリニューアルに伴うECプラットフォームの変更時にその候補となってくるケースがほとんどだと思います。

また、その場合に手法として比較になりやすいのはカートASPというよりもSaas型EC、いわゆるクラウドECと呼ばれるカテゴリーのものではないかと思います。

また、このクラスの構築になると手法そのものありきで選択するというよりも、同じ手法も含めてどういったサービスを選択するか、またどんな風に構築していくのかといったことが同じように重要な課題になってきます。

自分たちのEC事業が目指す方向性にあったECプラットフォームを選び、しっかりと理解をもって構築する制作チームとプロジェクトを進めることができるかが、目的を果たすためには重要です。

どんな種類を選べるか

それではECパッケージにはどんなものがあるのかを簡単にですが2〜3紹介しますので見てみましょう。

共創型プラットフォーム『Tri-co』

ECパッケージとしては2022年にデビューしたニューフェイスです。私たちCainaではたくさんのECサイトを制作してきましたが、より自分たちの思いを実現し、世の中に貢献していくためには、ECに関わる人がより快適になれるECプラットフォフォームを開発する必要があると考えました。

「買い物する人」にはお気に入りの商品との新たな出会いと快適な買い物環境を、「販売する人」には集客に強く売りやすい環境、そしてECサイトで働く人にはしっかりとがんばりが評価される、そうしたECサイトを作ることで、それぞれのモチベーションが上がり、よりECを中心に社会が健全に発展していける環境を作ることができると考えました。

そのための仕組みを多数盛り込み、SEOに根本的に強い構造を持ったECプラットフォームとして提供しています。

オープンソースのECパッケージ代表『EC-Cube』

EC-Cubeはオープンソースを代表するECパッケージです。オープンソースなのでライセンス使用料が発生しないため、初期費用を抑えることが可能です。

一方でメンテナンスやセキュリティに対する対応には細心の注意が必要です。サポートもオフィシャルなものはないので技術力の高いスタッフが常に必要になるということも忘れてはいけません。

国内シェアトップのECパッケージ『ecbeing』

ECパッケージの老舗として国内で充実した体制を持っているのがecbeingです。規模と実績が示すとおり、サポート体制もしっかりしています。構築だけでなく、その後の運営もサポートしていく体制が整っているところも人気の一つです。

万能型のECパッケージといえます。しっかりとチームが連携し目的を共有できるかがポイントになるでしょう。

まとめ

ECパッケージを選ぶような段階でのECプラットフォーム選びについて一つ言えることがあります。

それはこの段階に来ている場合、それぞれの手法をまず選択するのではなく、諸々の構築方法を超えて、何が可能で、どんな効果に期待するのかということにフォーカスしてフラットにそれぞれの方法を総合的に比較する必要があるということです。

そこではECパッケージであるか、クラウドECかということではなく、それぞれのベンダーごとで何が可能なのか、どういったプレゼンテーションがあるのか、また計画を実現するための予算はどの程度になるのかの積算を比べなければいけません。

そうした中で、ベンダーの制作チームのスタンスやその後のフォロー体制も加味して考慮することが可能です。ですので即決するのではなくしっかりとコンペや見積もりなどをとって決定するようにしてください。

また、まだ方針がしっかりと定まっていない場合は、ベンダー側のプレゼンテーションやコンサルタントが方向をはっきりとさせてくれる場合もあります。

いずれにしても規模的に導入決定から完成までも時間が必要ですので、そうした計画が始まった早い段階で何社かに相談してみるということが重要です。

ABOUT US

この記事を書いた人

鈴木隆太 株式会社かいな

1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。

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