ECパッケージとクラウドECを比較-それぞれの違いとメリットとデメリットを解説

2023.03.06

乗換え時にECプラットフォームを選ぶとき、比較対象になりやすいのがECパッケージとクラウドECです。導入に関する価格帯も近く、搭載できる機能も非常に似ています。

また、最近では多くのベンダーがクラウドECに力を入れ始めているため、情報が錯綜するようになってきました。同じ土俵で次に使うECプラットフォームの候補になりやすい二つのシステムの特徴とメリットやデメリットをこの記事では解説します。

ECパッケージとクラウドECはよく似た存在

企業が自社用に持つECプラットフォームでは、この2つはよく比較対象になります。現在では他のシステムとの連携なども含めた柔軟な設計や拡張性、またBtoBに特化したい、D2C機能を強化したいといった要望も複雑です。

この二つはそうした拡張性の面で優れており、柔軟に売上を支援するためのプラグインを追加したりしやすく、独自のサイトを制作したり、機能を拡張していくのであれば外せない選択肢といえるでしょう。

どちらもデザインの面では高い柔軟性を発揮します。また、決済についてもかなり自由に選択できるのも共通しています。顧客の満足度を高めるための機能であったり、分析をしっかりしていくための機能を付加したり他のシステムとの連携も容易に行いやすいところも共通しています。

このように、ECパッケージとクラウドECは、可能なことから価格帯、ユーザーのニーズもよく似ています。シェアされる領域が似ており、次のECプラットフォームを選定する場面で比較の対象になりやすくなっています。

それはECパッケージを目指してクラウドECが開発されているからというのが背景にあります。

クラウドEC、あるいはSaaS型ECサービスはカートASPの課題である「柔軟な設計やECサイト構築」をクリアしながらASPのメリットは維持することを目指しました。その回答がクラウドにソフトウェアを置いて利用するという方法です。ECサイトのためのソフトウェアをクラウドサーバーに格納して利用することで機能の柔軟性を一般的なカートASPから飛躍的に向上させることに成功しました。

ECパッケージをクラウド上で模したものがクラウドEC

これはECパッケージの仕組みを模しているともいえます。ECパッケージの場合はインターネットに接続したサーバー内にECパッケージと呼ばれるソフトウェアをインストールし利用するものです。ですのでこの違いはクラウドにあるのか、一般的なサーバーにあるのかというのがまず基本的な違いとしてあります。

その結果として差が出てくるのはクラウド上で動作できるソフトウエアであるという前提がクラウドECにはあるということです。そしてこの部分がクラウドECとECパッケージの大きな差や制限となって現れてきます。

みんなが気になる費用の比較

乗換えを判断する場面でやはり最初に気になるのは予算です。一般的なカートASPと比較すると、ECパッケージもクラウドECもどちらも初期費用は高くなる傾向にあります。

初期費用の内訳としては

  • 構築費用
  • ライセンス取得料
  • サーバー登録料

これが主な内容です。構築費用は両方の方法に共通して発生する金額です。ライセンス取得料はECパッケージにのみ発生する金額ですが、クラウドECでは利用登録料が発生するケースもあります。ただし、その金額はECパッケージでは数十万〜100万前後、登録料であれば数万円というケースが大半ですので、比較するとECパッケージのほうが断然金額が高くなります。

利用するための料金がクラウドECでは定額で発生します。一方でECパッケージはそのような料金は基本的に設定されません。

この逆に、サーバーに関しての費用はクラウドECでは発生しません。また、ECパッケージではサーバーをレンタルせず自前(オンプレミス)で構築すると格段に費用は跳ね上がってきます。もちろん、レンタルでもそれなりのスペックのものを求めると費用はあがります。こうした金額にも差が出てきます。

構築の内容などでも初期費用は変わってきますが、大体クラウドECで500万円くらいからが相場と言われています。それに対して、ECパッケージは600万円くらいになります。この差は概ねライセンス取得のための費用がECパッケージの場合に発生するというのが主な要因です。

そのため構築自体にかかる費用はほぼ同じです。また構築に関わる納期もほぼ一緒といっていいでしょう。

そして、こうした費用や後期は構築の内容によって差は出てくるのはどちらの方法も同じです。そのため、やり方によってはクラウドECでもECパッケージの相場である600万円を超えることもありますし、ECパッケージでも500万程度に抑えられる可能性もあります。またどちらの方法も1000万を超えるような金額になることもあります。

このあたりは乗換えであるということも要因の一つになります。EC事業が進行中の中でのシステムの変更になるため、要望がより具体的であったり、必要と考える機能が出てくることがあり、そうした要件を満たしていく結果、ある程度の予算に達することは避けられないケースが出てきます。

月額もいれたトータルだとそれほど差がないケースもある

継続中に発生するコストについて改めて考えてみましょう。まずクラウドECでは月額利用料の発生があります。この金額はそれぞれのベンダーで設定しており、大体数万円〜から十数万という金額が発生します。各ベンダーや選択するサービスによって金額は上下します。また、オプションなどで変化する場合もあります。

ECパッケージの場合はサーバー管理費とアップデートやメンテナンスに関わる費用が発生します。大掛かりなアップデートの場合は技術者が対応することになり、その金額も大きくなる場合があります。

また、ベンダーでライセンスを販売して終わりということではなく、継続したメンテナンスについても請け負っているケースが少なくありません。

そうした費用について年間でトータルし、平均を出すと月で大体十数万くらいからではないかと考えられます。

もちろんそれぞれで前後した金額になることがあります。そのため、トータルしたランニングコストについては思っているよりも差がないケースもありますし、通説で言われている「ECパッケージのほうがメンテナンスに費用がかかる」という状況になる可能性もあります。もちろん逆のパターンも考えられます。

また、ECパッケージではサーバーのスペックをあげることができますが、それによって費用があがるということもあります。

ECパッケージのメリットとデメリット

ECパッケージのメリットはなんといってもカスタマイズ性の高さです。もちろんどんなパッケージを利用するのかという面に左右される部分はありますが、仕様としては論理的に考えても、一般的に柔軟な構築が可能です。

ECパッケージのメリット

フルスクラッチという構築方法がありますが、こちらはすべてカスタマイズしたECサイトのデータを組み上げ、サーバーに格納するという仕様になっています。

収納するデータをECに特化して開発し販売できるフォーマットになっているソフトウエアを組み込むのがECパッケージです。通常はライセンスで保護されソースコードは公開されていないのでプログラムをすべて自由に改変できるというものではありませんが、かなり自由度の高い構築が可能になっています。そしてEC-Cubeのようにオープンソースのものを選べば格段に自由度はあがります。

また、サーバーが選択できるという点もメリットになります。読み出しが早く、安全な環境を構築し自前で管理したいという場合にも対応できます。ユーザーがアクセスした場合に快適な環境を作り出したり、運営担当者が何らかの作業を行う場合にもそうしたハード面で快適性を担保するといったことも可能です。

そのため、メリットとしては

  • 理想的なECサイト構築がかなりの精度でできる
  • サーバーを選択し、ハイスペックな環境を構築して利用することができる

といったところがポイントです。意外に語られていない要素ですが、サーバーのスペックはページの読み出しやサイトの操作について非常に重要です。この点においては整備されたサーバーに格納されたECパッケージはクラウドECに概ね勝るといえます。

とはいえ、現状、技術は日進月歩ですので今後の状況によって変化する部分もあるでしょう。

ECパッケージのデメリット

ECパッケージのデメリットはかなりメリットと関係しています。まずその自由度のために構築には知識と技術を要するという点です。そのため、構築やメンテナンスのコストが発生してしまうという点です。

またサーバーの管理費用についてもやはり同様のことが言えます。快適さを環境面で生み出すためにはそれなりにコストの発生は止むを得ない状況になっています。

  • 構築やメンテナンスに関するコストがそれなりに高額で発生する

こうした点を考慮すると、ECパッケージはやはり中〜大規模なEC構築に向いているECプラットフォームということが言えます。

クラウドECのメリットとデメリット

クラウドECのメリットは構築規模に対してメンテナンスフリーであるということがまず言えます。

クラウドECのメリット

クラウドECでは的なことに対し突発的に発生するコストを抑えることができるということになります。

このことはWEBやサーバーに関して必要になるテクニカルな部分へのリソースを心配しなくても良いため、大きな負担軽減に感じます。

WEB技術は日々変わります。またセキュリティを取り巻く環境も変化が起こります。そうしたことに対応していくことで必要になってくるヴァージョンアップの作業や、問題が見つかった時のセキュリティアップデートなどは少なくありません。そうした作業に対して毎回、方針を決め対応していくというのは意外にリソースが必要です。

それから解放されるという点は大きなメリットになります。

ただし、月額で利用するサービスなのでコストがかかっていないということではありません。

クラウドECのデメリット

クラウドECは柔軟性をかなり確保しているとはいえ、すべてが自由に構築できるものではないということはデメリットになります。もちろん一般的なカートASPと比較すると格段に向上しています。

ユーザーがふれることになるフロントエンド側であればほぼ自在に構築できる状況まできています。しかし、バックエンド側はその限りではありません。

結果的にどういったことに影響するかというと、運営の負担軽減という部分では、ベンダーの仕様にあわせなければいけないという余地が出てきます。つまり、既存のインターフェースからその辺りを変更できないケースも出てきます。

業務効率を上る作業は、ほんの些細な変更が実現したりします。この使う側で考える”ほんの些細な変更”がシステムとしては難しいケースがあります。その場合の対応についてはベンダーの対応待ちになります。また、要望によっては実現しないケースも出てくる可能性があります。

もっとも、クラウドECのベンダーはカートASPより対応が柔軟なケースが多いのは事実です。

もう一つはサーバーが起因で読み出しが悪いといったケースでは対応できません。これはクラウドの技術的発展を待つ必要があります。また、状況は各ベンダーによって変わってきますので一概に問題があるというものではありません。

まとめ

実際にコストのことを考えると、ECパッケージとクラウドECではそれほど差がないケースもあります。その上でどういったECサイトを作り、どのように運営していくのかで選択されていくのではないかと思います。

たとえばどうしても高速で安定した挙動環境を作るというのであればオンプレミスによるサーバー構築などを考慮しなければいけないのでECパッケージを選択することになります。テクニカルな部分は極力触れず運用し、ある程度はサイト構築の内容にすり合わせて運営できるのであればクラウドECの柔軟性で十分思う通りのサイトが作れるはずです。

また、ベンダーの設計思想やコンセプトが自社のサイトにあったものを選ぶこともとても大切です。たとえばかいなで提供している共創型ECパッケージ「tri-co」であれば、買う人も、売る人も、また運営する人もハッピーになれるECカートというコンセプトがあります。買うのが楽しい機能の充実、販売するための仕組みをしっかり組み込み、運営する人がやりがいを感じられるようしっかり評価されるようなサイトづくりをサポートすることをメインに、たくさんの機能を搭載しています。

tri-coはECパッケージですので柔軟な構築が可能ですし、ブランディング会社が構築するECプラットフォームならではの視点を組み込んだEC体験を味わうことができるはずです。

ABOUT US

この記事を書いた人

鈴木隆太 株式会社かいな

1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。

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