ECパッケージを正しく選んで、ワンランク上のECサイトを目指す
2022.08.30
ECパッケージに対しては皆さんどんなイメージを持っていますか?ASPより高額であったり手間がかかるというイメージが大半かもしれません。デメリットが先行している印象もありますが、それは正統な評価ではないと思われます。確かに闇雲に選択されるべきECプラットフォームの構築方法ではありません。でも、どんな方法も適切なシチュエーションで選ばれてこそ効果を発揮するからです。
ここではECパッケージの魅力やメリット、デメリットについて、解説します。
CONTENS
ECパッケージ導入を推奨するケース
ECパッケージは自由度の高い構築方法です。自社ECのスタートであれば圧倒的にカートASPで始めるケースが多く、ECパッケージはその次の選択肢といえます。
推奨されるケースとしては、ただ商品を陳列するようなECサイトではなく、よりコンセプトを持って方向性を打ち出した場合に、効果的に動作するようにしたいような場合にはより力を発揮します。
したがってEC事業の展開初期ではなく、中期以降に推奨されます。また、EC初期であっても、ある程度の規模をもって始めようという場合はその射程距離に入ってきます。
最近では事業のEC化が求められています。そのため、今まではEC化を見送っていたような老舗の企業もECについて検討しなければならないケースが増えています。
今までの業態を生かしながらECを移行するためにASPの枠組内で収めるのは難しいといったケースでは、ECパッケージが推奨される場面も多くあります。
ASPとの自由度は比較にならない
カートASPと比較すると手軽さはありません。しかし、あらゆる面で自由度が高く、柔軟な構築が可能です。多くの場合、ECパッケージには活用可能なアプリケーションが配布されており、それらを使って組み合わせ機能を追加します。また、その組み合わせの柔軟性も高いのも特徴です。アプリはは有料のものも無料のものもあり、費用対効果を考慮して導入する必要があります。
ASPであれば、こうした柔軟性は適応される範囲内に止まります。もしASPの運営側が不可とした場合、思いついても諦めるしかありません。
一方でテスト的に始めるといったケースに対しては、構築に手間がかかるためあまり向いていないといえます。オープンソースで使えるECパッケージがあり、活用すること自体にはコストは発生しないケースもありますが、マンパワーが必要になります。
他にもサーバーを取得し、そこにプログラムを格納する必要があるなど、構築の手間は決して手軽ではありません。そうした手間がかかる分、構築や運営の補助機能について制限されるものは圧倒的に少なくなります。
絶対的なコストは安くないが比較する条件次第でその価値は変わる
実際のところ、導入に向けたコスト的にはASPより膨らむのが一般的です。自由度が利くということはその手間がかかるということと言いかえることもできます。そのため、それなりのコストが発生することについては事前に了承しておく必要があります。
ただし、ASPを活用しつつ、少し難しいカスタマイズを加えることなどを考えているのであれば、条件は変わってきます。視覚的な部分であればASPは多くのことが可能になってきていますが、システム的なことではそうは行きません。また、場合によっては推奨されないケースや不可能なケースも出てきます。
そうした条件的なことを加味しなければコストを測ることは困難です。そのため、絶対的なコストだけで測るのはあまり意味がないことかもしれません。
やろうと考えていることと、その実現度や精度とのバランスを考えることはこうした見積もりには必須です。単純な金額の大小は参考にならないことを覚えておきましょう。しっかりと実施予定の内容と比較することを忘れないでください。
メリットは拡張性と柔軟性
ECパッケージのメリットはなんといってもその拡張性の高さにあります。
ASPの場合はすでに機能が据え付けられており、それを起動させるというイメージです。そのため、後から機能を足したり、削ったりするという概念ではなく、使うか使わないかで機能をアクティヴにすることを決定しているイメージです。
一方で、ECパッケージの場合は、使いたい機能を部品として足すか足さないかという感覚になっています。パーツを追加することでその機能を使います。ベースになるものと紐づけることができるのであれば追加が可能な仕組みです。そのため、豊富なプラグインが用意しやすく、また利用もしやすいというわけです。
そのため根本的にASPと比較すると機能の拡張性にすぐれています。また、柔軟性という点においても同様です。この機能をプラスし、これはプラスしないということも可能です。もちろん、連携させなければ意味のない機能もあるため、あまり柔軟にしすぎると動作しないということも起こりうることは配慮が必要になります。
こうした拡張性の良さと柔軟性の高さはECサイトにとっては大きなメリットになることは確かです。おECサイトの課題の一つは同じような商品であっても販売に際して関わる状況はそれぞれに異なるということがあります。そのため、全く同じ環境をECサイトに再現したとしても、同じような快適であるかはわかりません。
そう考えると柔軟性を備えているパッケージはしっかりと設計できれば選択肢として失敗が少ないということも言えます。こうした部分は最終的にコスト減に繋がる部分もあるため、eCサイトの構築方法として大きなメリットになることは間違いありません。
メンテナンスと複雑さはデメリット
どんな事柄もメリットだけでなく、必ずデメリットもあるものです。そして多くの場合、メリットとデメリットは表裏一体です。
ECパッケージの場合も同様で柔軟性や拡張性という幅広い選択肢は複雑さと捉えることもできます。何も知らずに手をつけると大きな海に準備もなく飛び込むような状態になります。選択肢が多いということは物事をより複雑にできるということでもありますし、能動的に選択していなければ組み上がらないということでもあります。
そのため、構築には時間がかかりますし、それなりに知識が必要になります。もしこうしたものがなくても作ることはできますが、パッケージを選択する意味を十分に得ないサイトを作ることになるのは間違いないでしょう。
またもう一つはメンテナンスを自前でやる必要があるという点です。アップデートに対しては構造上それぞれのサイトごとに状況がかわってきます。そのため、サプライヤー側で対応することは不可能に近いことです。どのように組み上がっているかは構築した側でなければ把握できません。
そのため技術的な部分でのサポートが常に必要になってくることが課題となります。
こうしたデメリットを解消するには、十分に知識のあるエンジニアの存在が不可欠です。ただ、そうした部分に不安がないのであれば当然これはデメリットにならなくなってきます。十分にメリットを生かすことができるでしょう。
汎用のパッケージよりもコンセプトの合うものを選択しよう
ECパッケージを選ぶ上で重要なのはどういったところでしょうか。それは作ろうと思っているECサイトとコンセプトの一致したものを選ぶことです。
よく知られているEC-Cube以外にもECパッケージはよくあります。また、例えばEC-CUbeをベーシックにしてカスタマイズしたパッケージも多数存在しています。ECパッケージは複雑なことが可能なので、ある程度方向性を絞って販売することで、ユーザーの方向性にあったものを選ぶことで利便性を高めることが可能です。
そのため、そもそも汎用性の高いパッケージを選ぶ中で重要なのは作りたいECサイトや企業方針などと方向性のあっているECパッケージを選ぶことが第一です。多くのパッケージは汎用性は十分にあります。ですので、セールスポイントがそこから出ていないパッケージは特に手が加わっておらずプレーンな状態とも言えます。それであればどれを選んでも同じとも言えるからです。
重要なのはそのパッケージがどういったことが得意なのかということです。目的やそのパッケージのサプライヤーが込めた思想に共感できる、あるいは納得できるという場合は大きな力になることは間違いないでしょう。
tri-coは共創プラットフォームとして生まれたパッケージです
最後にかいなでリリースしているtri-coのお話もさせてください。
tri-coはかいなが多くのクライアントの皆様のEC事業に関わる中で、「もっとこうならいいのに」という思いの中で開発に携わったECプラットフォームです。そして形式としてはECパッケージとして作られています。
注目したのはECサイトを介して繋がる人です。ECサイトには「買う人」「売る人」「働く人」の3つの立場の人がはたらいています。そのサイトに関わる人それぞれの立場で感じるベネフィットは違いますが、皆に恩恵を生むことができるはずです。それにはECプラットフォームが持つシステムの役割はとても重要だと感じていました。
この三者三様のハッピーを実現するためにtri-coは開発されました。
- 買う人にはより楽しい買い物と良い商品との出会いを
- 売る人には販売しやすく売れる喜びを
- 働く人には効率よく、また業務を評価される充足感を
もし今後導入予定のECプラットフォームについてこうしたことがピンときた方はぜひご相談ください。
ABOUT US
この記事を書いた人
鈴木隆太 株式会社かいな ライター
1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。