ECパッケージの気になる費用〜実情と選択の決め手

2022.09.30

ECパッケージの初期費用は数百万円からがスタートです。そのため、多くのECサイトはカートASPで始めることが少なくありません。その出番の多くはリニューアル時に規模を拡大したいと考えるケースや、そもそも予算の潤沢な大きなプロジェクトです。そうしたケースではECパッケージの持つポテンシャルを十分に発揮し、希望により順応したECプラットフォームを持つことが可能です。

ここでは費用面でECパッケージを選択する場合、またしないほうがいい場合なども含めてそのメリットを解説します。

ECパッケージの初期費用は安くない

どのECプラットフォームを中心にEC事業の中心にするかはその戦略の基本的な部分の多くを決定することになります。そのため、ECプラットフォーム選びは状況に合わせて慎重に行う必要があります。

費用的な面でも、短期的な視点だけでなく中長期的な視点で考えていくことで、求める環境に準じた息の長いECサイトを構築することで全体的な満足度の高い選択となります。

カートASP、ECパッケージ、フルスクラッチ、そして既存のECモール出店という方法でのEC事業への展開があります。カートASPは個人レベルでも導入しやすく、触れたことのある人は意外に少なくありません。またフルオーダーによるフルスクラッチは導入しようと考える背景なども含めて、あまり選択に迷わないかもしれません。

一方でECパッケージはベンダーによる情報が中心であり、あまり情報が多くはありません。tri-coもECプラットフォームの中ではECパッケージという分類になります。なぜこのカテゴリのものが必要なのか、費用面なども含めてそれを導入するシチュエーションはどういったケースなのかを考えるための情報が必要です。

初期費用としては、ライセンスの取得料や構築に関わる費用を考えると数百万からの予算が必要になります。その上で要件によっては数千万という流れになります。

実際に要望にそったECパッケージが見つかった場合は、構築に関わる費用も変わってくるため、結果的にイニシャルコストを抑え、またランニングコストに関しても抑えられるケースもあります。

ECパッケージでの構築は、自社でのECプラットフォーム運営を考えて単純に見た場合、主な選択肢の中では以下のような関係にあります。

  • 初期費用がカートASPより発生するが要望をかなえやすい
  • フルスクラッチに柔軟性では勝てないが工期も費用もある程度の上限がある

ECプラットフォームとして、俯瞰してみるとこのようになります。その過程としてASPとフルスクラッチの中間にいるように感じる人もいるかもしれません。しかし、今やフルスクラッチにする意味はECに置いては大きなものではなくなってきました。それぞれの機能をいかにうまく取り入れることができるかということが重要になってきているからです。

ASPで自社ECプラットフォームを持つという需要はなくならないでしょう。多くのインディペンデントの企業では事業規模などによって製造量や販売量も決まってくるため、必要以上に拡張したECプラットフォームを必要としないからです。

しかし、その先の受け皿としてECパッケージの存在意義は大きくあります。

ECパッケージはこんなケースで選びたい

上記のようなことを配慮するとECパッケージについては誰に対してでも闇雲に勧めるものではありません。しかし、ASPやフルスクラッチより圧倒的に有利な場面も少なくありません。以下のような条件に当てはまるなら積極的にECパッケージを選択肢として検討したいところです。

  • すでに年商1億以上、あるいは年商1億以上を目指すプロジェクトである
  • ブランドの特徴に合わせたシステムが必要
  • フルスクラッチと比較した場合、費用と工期は押さえたい

十分にメリットを感じている場合であっても、収益と合わない規模のECプラットフォームを導入することはおすすめできません。無理な導入を推進しては事業継続性に関わります。

実際にECパッケージで思うように構築されたECプラットフォームは非常に快適です。カスタマイズ性の高さはフロント部分だけではなく、バックヤードとしての機能も大変優れているからです。しかし、その快適さを手に入れるために初期投資分をいつまでも回収できず、事業のPLを悪化させてしまっては本末転倒です。

ですので、一つ目にあげた項目である「年商1億円以上のプロジェクト」はとても重要な条件となります。この条件をクリアした上で下記の二つを考慮することが重要になってきます。

初期費用で800万の投資としても年間の粗利が4000万、諸経費引いて2000万の利益があれば十分にその金額をクリアできます。耐用年数を仮に短めの3年としても十分に採算の取れる計算です。

一方でASPでの限界も年商1億あたりと言われています。配送管理であったり顧客管理システムであったりといった部分にもこの辺りの受注金額、件数となってくるとASPでは効率化ができないケースも少なくなく、もしそれ以上の売上見込みを立てているのであればリニューアル時にECパッケージを候補に挙げていくことが順当です。

フルスクラッチは既存のプログラムに頼らず一から構築していくため、パッケージよりもさらに柔軟な構築が可能です。一方でそのコストと工期は膨大になるため、資金力のあるプロジェクトでなければなかなか実現は難しいと言えます。

ランニングコストは少ないケースもある

ASPと比較した場合に一般的にECパッケージはランニングコストがかかると考えられています。物理的なコストを考えると更新作業やサーバーメンテナンスなどでコストが発生するケースがあるため、正しい意見です。

しかし、その背後に働く人の作業状況などはそこには加味されていません。ECパッケージであればそうした部分にもしっかりと配慮した構築、つまり使い勝手を考慮してECサイトを構築しやすくなります。

一概にランニングコストについて語ることはこうした面を考えるとあまり良い方法とは思えません。ある程度の規模のサイトがECパッケージを選択することを考えると、このランニングコストの面でASPと比較することはそもそも比較対象として意味があるのかということがあり、単純な知識としてしか意味のないものではないかと思います。

ランニングコストについてはむしろ、しっかりと構築時にどうなると運営中の工数を減らせるのかといった工夫を盛り込むかが重要ではないかと思われます。またWEB制作会社とも会社の実際の業務状況も含めて丁寧に打ち合わせをし、より良い環境を作るためにバックヤード機能を整備してもらうことで見えないところで膨らむコストを抑えることができる可能性があります。

オープンソースであっても事業規模を考慮する

ECパッケージの中には「EC CUBE」のようなオープンソースのパッケージも存在します。オープンソースであるため、ライセンス使用料は発生しないため初期コストを大幅に抑えることが可能です。

そのため、人気のある構築方法ですが、課題もあります。まずオープンソースであることで、すべてのプログラムがわかる状況になっているという点があります。実際にEC-CUBEはプログラムの脆弱性を狙ったトラブルが発生しており、金銭や個人情報を扱うECでは非常に不安があります。

いくら初期費用が抑えられてもトラブルでより大きな損失を生んでしまう可能性があるということは必ず考慮すべき問題です。

初期費用が低いといっても構築には専門知識も必要になるため、ECパッケージの中では費用が抑えられるというだけであり、発生しないわけではないということも考えておく必要があります。

そのため事業規模を考慮した場合、ある程度の規模があるのであればオープンソースでの構築については注意が必要です。

考えるポイントは費用対効果

実際にECパッケージと他のECプラットフォームの構築を考えた場合、考えるべきポイントが複数あるということは費用面でもあるということはご理解いただけたかと思います。

実際には費用に対してどの程度の効果をもっているのかということが重要であり、ただ単純に価格が高いというものではないのです。

当然、闇雲にスタートアップにECパッケージを選択することは避けるべきです。どのプラットフォームであっても、初期の予算、事業規模、収益予測などを考えて導入を検討してください。

そして、大きすぎることも問題ですが、小さすぎることも問題です。ちょうどよいポイントはどこにあるのかをしっかりと見極める必要があります。

もし事業に対して適切であればECパッケージは確実に効果を生む選択肢となります。過不足なく費用対効果を考えてみることがやはり重要です。

導入の大きなメリット

もし適切な選択としてECパッケージを選択できたのであれば、主に3つの方向性でメリットがあります。

  • ブランドのイメージにあったユーザーフレンドリーなサイトの構築
  • 方向性に合わせたマーケティング施策の実施しやすいプラットフォーム
  • 効率的な運用が可能なバックヤード

選択する際にはこうした点にメリットを感じて選択するということになると思います。十分にその柔軟性と拡張性を活かすことで、ASPでは実現するのが難しいECプラットフォームを所有することができるようになると思います。こうした構築の結果得られる差は売上と効率の部分で確実に現れるはずです。

投資する金額が大きくなる分、可能なマーケティング施策やバックヤード管理などは大きなサポートになるように構築できます。EC事業の規模を大きくしていきたいと考えている場合は有効な投資になります。

最近ではShopifyなどのASPも拡張性のあるプラグインが豊富に存在しています。しかし、そのランニングコストは安価ではありません。欲しい機能を追加していくと結局ECパッケージでの初期費用を超えた金額が発生しているといったケースもあります。

単純に可能か、不可能かではなく、トータルして考える必要があることも忘れないでおきたいところです。

またもう一つ重要なのは、そこにはWEB制作会社などのコーディングやデザインの力も関係するということです。こうした点はすべてのECプラットフォームについて、実は無視することはできない問題です。この点で十分な協力を得られるなら必ず期待通りの結果を得られるでしょう。

そして、最後に、選択する際には、そのECパッケージがどういったコンセプトを持って提供されているのかも重要です。根底にある設計思想などにシンパシーがあれば、ECプラットフォームの構築やその後の運営なども成功に近くなります。方向性が同じということはそれだけで推進力になります。

Tri-coで3つのHappyを実現する

私たちが送り出したECパッケージである「tri-co」についても紹介させてください。

ブランディングデザインの会社として多くのECサイト構築や運営を行なってきた私たちがECに必要なものは何か、また何を実現したいのかを考えてリリースしたのが共創ECプラットフォームのtri-coです。

ベーシックとして安全であるもの、拡張性があるものということでW2ソリューションのECパッケージをベースにカスタマイズしています。こうした基本的なことを押さえながら、tri-coのコンセプトである買う人、売る人、使う人という3つの立場でのハッピーとは何かを突き詰めたECパッケージであることとして、その主だった機能をセレクトしています。

今はデジタルテクノロジーが進み、AIの活用も盛んです。その上でECは人と人がWEBという空間を通して行き交う場です。そこに関わる人のハッピーを広げていくことができるように私たちができる技術と知識を反映し、みなさんのECをサポートするにはどうすればいいのか・・・その解答としてtri-coを送り出しました。そこにいる人とどう向き合うかが今後より重要になっていきます。

こうしたコンセプトECプラットフォームの選択でECパッケージではどれを選ぶか悩んでいるという方はぜひご相談ください。

ABOUT US

この記事を書いた人

鈴木隆太 株式会社かいな

1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。

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