システム連携でECサイトを強化してフル活用する方法
2022.11.08
ECを始めた場面では、顧客の情報や、配送システム、在庫管理システムなどが別々に存在していても気にならなかったかもしれません。しかし、これらのシステムが連携されることで、ECプラットフォームでの作業効率が飛躍的に上昇する可能性があります。
また、自社での独自ドメインによるECと楽天やAmazonなどのECモールでの運営を並行している場合はどうでしょう。これらも連携したほうが格段に効率的です。在庫の一括管理、発送の連携などはやはり格段に効果があります。
ここではECプラットフォームとそれぞれのシステムの連携についてメリットと方法を解説します。
CONTENS
ECはますます連携が重要になっている
ECでの事業は販売のチャネルが増えていく傾向にあります。これらを統合して管理していかないと工数は増え作業は膨大になります。また、どういったルートが利益を生むのかがわからなければ戦略も立てられません。
ECの場は必ずしも自社サイトに限らず、広がっています。例えばECモールだけでなく、メールマガジンがそのままコンバージョンを生みます。SNSも同様の状況になってきました。googleではショッピング機能を強化しています。わざわざサイトに誘導せずシームレスに購入できることがより利便性をあげているのです。
そうした状況では「ECサイト」としての機能は必要ですが、それ以上に様々なチャネルを統合して管理できるECプラットフォームとしての存在感が大きくなってきています。
もちろん連携すべきはECによるものだけではありません。実際に店舗をもっていたり、DMなどによる既存の通信販売といった販売ルートに関しても、わざわざ入り口の分だけ、分けて販売を管理する必要性は低い状況です。データとしてそれぞれの入り口を管理できれば十分といえます。
よりトータルな販売チャネルを活かすことがビジネス全体を成功に導きます。
そこでよりECで重視されるようになってきたのが関連したシステムの連携です。APIなどを使って別のシステム同士をつなげて行なったり、そもそもECプラットフォームにその機能がありプラグインとして活用されるといったケースもあります。
DXともつながるECの連携
システムの連携をうまく活用することができるようになるととにかく便利です。たとえば在庫の管理にしても連携ができれば一括管理が可能になります。それぞれの販売スロットごとに在庫数を入力するといった作業は必要なく、ロジスティクスの面からも強化されることは確実です。
顧客管理の連携についても同様のことがいえます。もし実店舗もビジネスとして大きな販売チャネルを占めているのであれば、会員カードなどのシステムを統合することで効果的なアプローチと囲い込み、そしてアフターフォローを実現できます。
こうしたことはDXの側面からも語られることが増えてきました。DXはデジタルトランスフォーメーションの略称です。有効なデジタル環境を全体的に連携させ、効率的な経営、事業展開を行なっていくことを指しています。
労働者人口の激しい減少が予測されている日本ではこの2020年代にDXの導入をおこなっていくことは、困難な状況を乗り切るための一つの回答とも言われています。
しかし、そうした課題的なことではなく、メリットは孤立したシステムとしてECプラットフォームをおく以上に大きなものです。
例えば、それぞれのチャネルをシームレスに移動できるようにすることで販売機会を事業者側が増やすとうことことだけでなく、顧客の利便性を加速度的に上げることも可能になってくるからです。
これは単純にビジネスに有利ということだけではありません。確実に世の中が便利になることにもつながることです。
ECサイトの作業を横に串刺しできる連携が効率化を推進する
ECプラットフォームのシステム連携を考える上で重要なことは。さまざまなチャネルがある中でそれぞれを拡張することではなく、まずそれらのチャネルを並列につなげて使えるものにすることです。
そのためまず重要なのはこの4つです。
- ショッピングカート
- CRM
- 在庫管理
- 配送管理
この4つの項目が統合されていると物事を効率的に運営することが可能です。
カートが統合されていると課金処理、会計処理がスムーズになります。それぞれがバラバラになっている場合、それぞれのチャネルごとで入金処理が行われ作業は非常に煩雑になっていきます。もちろん、統合できない部分も存在します。例えば、ECモールなど、決済手段についてはモール側の処理に完全に依存するからです。しかし、どういった処理が行われるか、金額や日時を連携することで、その後の処理を軽くすることが可能です。
CRMは顧客を管理するためのシステムです。それぞれのチャネルごとに顧客情報がぶら下がっていると、トータルな運用がしにくいだけでなくまずそもそも非効率です。 ECに限らずビジネス全体においてのCRMの統合はもっとも重要な課題といえます。これは大手の企業ほどシステムが乱立しているケースが多く、意外に大変なことです。逆にスタートアップまもない企業などでは導入しやすい項目でもあります。
在庫管理を一つのインターフェースで行えることはもっとも手軽な効率化といえます。それぞれのチャネルごとに在庫を入力し、調整する必要がなくなることをイメージしたEC運営担当者の数は数え切れないでしょう。これはもっとも標準的に行いたい連携ではないでしょうか。
配送の管理も同様です。もしチャネルごとにインターフェースが分かれていたら、配送の確認だけで1日が終わってしまうかもしれません。もしユーザーから問い合わせを受けた場合、そのオーダーを探すのも大変です。
ECが登場した頃にはそれらが並列に存在していることが当たり前でした。しかし、今は連携が可能です。それは実店舗も含めて一括で管理することができるようになっています。そして今、連携を前提にしないことのほうが問題です。
またそうしたシステム連携を前提にしていないECプラットフォームを選択することはできる限り避けることが重要です。
APIが使えるECプラットフォームを選ぶ
さて、では実際にECプラットフォームを選択する場面で、そうした煩雑なシステムの乱立を避け、連携することができるようにするためにはどうすればいいのでしょうか。
その答えの一つはAPIが使えるECプラットフォームを選択することです。もちろん、それだけですべてのシステムを連携させることはできません。連携させたいシステム側にもそうしたAPIが必要だからです。ただ、ECモールを見てもAmazonや楽天は以前からそうした合理化のためのAPIを提供しています。
カートASPでもカラーミーショップ やShopifyなど主要なASPのほとんどはAPIに対応していますが、あくまでベンダー側で利用可能としているシステムに限り連携可能です。そのなかでも今あげた2つのカートASPは比較的柔軟に対応を進めている印象があります。
また、多くのECパッケージはそうしたAPI連携という面ではカートASPと比較すると圧倒的に有利です。もちろん、カスタマイズには知識を必要とするので簡単にすぐできるというものではありませんが、可能性という部分ではカートASPと比較するまでもないでしょう。
連携させたいシステムの確認も必ずしよう
これは当然ともいえますが、連携させるシステム側にもある程度の拡張性が必要です。以前からのシステムをいまだに活用している場合は連携が難しいケースも出てきます。ですので、ECプラットフォム側が高い拡張性を備えていたとしても連携できないというケースもあります。
そういったケースではそもそもどんなECプラットフォームであっても連携できないケースがあります。WEB制作会社に依頼しているようなケースでも、既存の活用中のシステムがどんなものかをすべて解明することは困難です。
また、そうしたシステムをいまだ利用している場合は移行やバージョンアップなどが検討課題になってくる可能性もあります。新しくシステムを選ぶ際にはECも含めたトータルでの連携をぜひ考えておきたいものです。
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この記事を書いた人
鈴木隆太 株式会社かいな
1975年生まれ。会社員から2004年よりライターとして活動。雑誌を中心にネット移行への過渡期を経験。主に音楽、文化、医療、マーケティングなどについて執筆。ライター外ではマーケティング、コーチング等。